こんにちは、キーデンタルクリニック歯科医師の若松慶太です。前回はインプラント治療の歴史や構造、治療の流れについて説明させていただきました。今回はインプラントのメリット、デメリットと長持ちさせるためのケアの方法について説明していきたいと思います。

インプラント治療のメリット、デメリット

メリット

インプラントのメリットとして大きな点は隣の歯への負担がない点です。ブリッジにしろ入れ歯にしろどうしても噛んだ時の負担が隣の歯にかかってきますが、インプラントは単独で骨にくっつけるため余計な負担をかけずに済みます。またブリッジのように隣の歯を削る必要もありません。削ったり、咬み合わせの力をかけるとどうしても歯の寿命は縮まってしまうのでこれは大きなメリットです。またブリッジ、入れ歯と比べるとはるかに嚙みやすく、天然の歯とほぼ近い感覚で噛めます(ブリッジで天然の歯で噛んだときの60％、部分入れ歯で30％ほど、総入れ歯では20％以下といわれています)。また入れ歯には隣の歯にひっかけるバネや厚みがあることから違和感がでますが、インプラントではほぼありません。見た目ももちろん綺麗になります。

デメリット

次にデメリットですが、保険が効かない自費診療なので高額な点があげられます。またインプラントを顎の骨に埋める外科手術が必要になります。外科的な手術になるので精神的な負担が少なからずあります。また全身疾患をお持ちの方や骨の量が少ない、重度の歯周病があるなどの場合はまれに行えないこともあります。
インプラントは基本的に歯を抜いた後とインプラントを骨に埋めた術後、骨が治癒するまでしばらくの期間は空けなければいけないため最終的な被せ物が装着できるまでの治療期間は他の治療法と比べ、長くなる傾向にあります。インプラントは虫歯にはなりませんが、歯周病にはなるのでメインテナンスにもしっかり来ていただくことをお勧めします。
あとは可能性の話になりますが、万が一インプラントの隣の歯がダメになったとき他の治療との応用が利きづらい点も挙げられます。インプラントは骨と直接くっつく点や横からの力に非常に弱いという性質上、天然の歯とは異なるので入れ歯のバネをかけたり、ブリッジの支台の歯にはできないためです。

ケアの方法

インプラントは被せ物が入って終わりではなく、そこからしっかり自分でケアして長持ちさせるための努力が大事です。先ほどお話したようにインプラントも歯周病になります。そのため、歯周病予防を意識したケア方法が必要です。まずは歯周病予防を意識したブラッシングをしましょう。ポイントは歯というよりも歯と歯茎の境を磨くようにすることです。そこに汚れがたまると歯茎が腫れて歯周病が進行してしまうので意識して磨くようにしましょう。歯と歯の間も歯周病が進行しやすいポイントです。歯ブラシの当て方や動かし方のポイントを歯医者で聞き、できる限り歯ブラシで汚れをとりましょう。それでも歯と歯の間の汚れは歯ブラシだけでは完全には取り切れないため、さらにデンタルフロスやタフトブラシも併用すると効果的です。
あとは３ヶ月に一度はメインテナンスを受け、インプラントのチェックとクリーニングをするべきです。初期の歯茎の炎症などは自分では気づけないことが多く、定期検診は必要ですし、クリーニングで汚れがつきづらい環境をつくるのも大切だからです。

まとめ

インプラントは歯とほとんど近い嚙み心地など大きなメリットがありますが、その反面費用や期間、外科処置など乗り越えなくてはならない部分も確かにあります。ですが、いつまでもおいしく食事をするためにはとても有効な手段であることは間違いないので、他の方法とよく検討してみるべきでしょう。そしてメインテナンスでいい状態をキープすることが最も大事なので、歯科医院でのアフターフォローを受け、インプラントを長持ちさせましょう。