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口腔がんについて Part1

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口腔がんとはどんな病気なのか?

 
 
今回は、口腔がんはどのような病気で、どのような治療法があるのか、また日常生活の中で読者の皆様が注意すべきことは何なのかを4回連載でご説明させていただきます。

肺がんや大腸がんなどと比べると患者数が少ない『口腔がん』ですが、発見・治療の遅れにより様々な機能を失い、内臓疾患と違い、顔や首の組織を失うことにより見た目の障害をも起こしてしまいます。この連載で多くの方が口の中、口腔がんを含む口腔粘膜疾患に興味を持ってい頂ければ幸いです。
 
 

口腔がんとはどんな病気なのか?

 
口腔がんをご存知ですか?
日本では1981年に脳卒中を抜いて「がん」が死亡原因の第一位を占めるようになって以来,死亡者数は年々増加し、2000年には年間29万人,2015年では37万人を超え増加傾向にあります。これは死亡総数の28.7%を占め、国民の3人に1人ががんで死亡していることになります。

がんは、その発生する組織から『上皮性』と『非上皮性』に分類されます。『上皮性』組織には皮膚や口腔を含む粘膜が、『非上皮性』組織には筋肉や骨などが含まれます。

『上皮性』の悪性腫瘍は『がん腫』、『非上皮性』の悪性腫瘍は『肉腫』といわれます。口腔がんには悪性黒色腫や骨肉腫に代表される肉腫もありますが、大半が口腔を覆う粘膜に発生する『口腔扁平上皮癌』です。今回の連載では、この口腔扁平上皮癌について説明したいと思います。

がんに関して全体像を説明しましたが、口の中に「がん」ができるの?と思っている方もいらっしゃるかもしれません。2019年初めに有名な芸能人の方が進行がんであるStage IV(ステージ4)の舌癌を公表し、世間の人々にも広く「口腔がん」、「口腔扁平上皮癌」、「頸部リンパ節転移」という言葉が浸透してきました。超高齢社会を迎えたわが国において全身の他の臓器のがんと同様に口腔がんの患者数は年々増加傾向にあります。

口腔は直視(直接見える)・直達(直接触れる)が可能なことが、他の臓器と異なる大きな特徴です。口腔とはその名の通り“口の中”のことで、口腔に発生するがんの総称が「口腔がん」です。発生部位により舌がん、歯肉がん、頬粘膜がん、口底がんなどと呼ばれ歯以外の口の中の粘膜に、どこにでも発生する可能性があります。

また、口腔は摂食(食べる)、嚥下(飲み込む)、構音(しゃべる)など社会生活を営む上で重要な臓器です。口腔がんが発症し進行すれば、これらに関与する機能障害のほか見た目の障害も来たし、生存率にも大きく影響します。

口腔がんの進行による5年生存率は一般的に、Stage Iが98.1%、Stage IIが73.7%、Stage IIIが65.5%、Stage IVが38%といわれており、進行したケースでは頸部リンパ節や肺など他の臓器に転移をきたし、生存率が低い疾患です。そのため、他臓器のがんと同様、口腔がんにおいても早期発見・早期治療が治癒率向上のためには最も重要です。つまり、「いかに早く見つけるか」です。

口腔がんの特徴は、①歯科医院で発見されることが多い、②進行してから治療機関を受診することが多い、③口腔内にがんが発生することが認知されていない、などがあります。
 
1) 川上美多喜,池村邦男:口腔の扁平上皮癌における多重癌5年生存率の影響.口科誌,53:9~13.2004.
 
 

口腔がんの発症メカニズムは?

口腔がんは統計調査のうえでは、「口腔・咽頭がん」として取り扱われ、全がんのうち15番目で年間約2万人の患者さんが発生しています。そのうち口腔がんは約8千人とみられています。しかし、以前に比べると口腔がんになる人は男女ともに増加傾向にあります。50歳以上が多いですが、2000年以降は若年者と女性が増えています。

口腔がんの約90%は口腔粘膜に起こる扁平上皮癌です。発生する場所による分類だと舌が全体の約40%を占め、そのほとんどが舌の横縁に発生します(Fig.1)。尖端や舌の上にはほとんど発生しません。次いで多いのが歯肉(歯茎)がんで、約30%を占めます。下の顎(Fig.2)の発生率は上の顎の約2倍で上下顎ともに奥歯に多く見られます。歯肉は直下に骨が存在しすぐに顎骨に浸潤するという特徴があります。そのため、歯肉炎や歯周炎などの歯茎の疾患と間違えられやすく歯茎の治療や抜歯を行った後、治りが悪いことからがんと分かる場合もあります。

口腔がんの発症メカニズムについてご説明する前に、まずは、口腔の粘膜の構造、機能について解説します。口腔粘膜の構造は皮膚と基本的には同じです。皮膚は重層扁平上皮細胞からなる表皮と結合組織である真皮からなりますが、口腔粘膜では粘膜上皮と粘膜固有層からなります。
部位により構造が多少異なり、硬口蓋(上顎の内側の部分)や歯肉のように食べ物を咀嚼するときに物理的な刺激を受ける咀嚼粘膜は、可動部(動く粘膜)である口唇、頬粘膜、舌下面、軟口蓋などの被覆粘膜と比較すると角化の程度が強く、刺激に耐えられるのが特徴です。
舌背部(舌の上の部分)は上皮および結合組織が突出した乳頭が多数みられ、味蕾(味を識別する組織)が存在する特殊粘膜と呼ばれます。
口腔粘膜の機能は、①口腔内を被覆して細菌などの侵入を防ぐ、②下部組織からの体液の流出を防ぐ、③痛覚、触覚、温度覚の感覚器官、④粘膜下組織の細胞に情報伝達し免疫的防御機能を担うなどがあります。

そんな口腔粘膜が様々な刺激を受けがん化していくわけですが、『昨日まで正常で、今日からがん』ということはありません。がんは普通の細胞から発生した異常な細胞のかたまりです。正常な細胞であれば、体や周囲組織の状態により増殖したり、増殖をやめたりします。例えば、口腔粘膜に損傷が起きれば細胞は増殖し損傷部をふさぎますが、治れば増殖をやめます。
 一方でがん細胞は体からの命令を無視し増殖し続けます。がん細胞は、正常細胞の遺伝子に複数の傷がつくことにより発生するのです。

これらの遺伝子の傷は一度に起きるわけではなく、長期間に徐々に誘発されてきます。傷がつく遺伝子のなかには、車で例えると、アクセルの役割をする「細胞を増殖させる遺伝子」が、必要のない時にも踏まれたままになる場合(がん遺伝子の活性化)は、特定のタンパク質の働きを強めることにより、がんにつながる増殖異常を引き起こします。また、ブレーキとなる「細胞増殖を停止させる遺伝子」が、その機能がかからなくなる場合(がん抑制遺伝子の不活性化)があります。これらが幾重にも重なって起きるのです。

DNAに傷をつけて変異を起こさせる物質を、イニシエーターといいます。変異が生じても通常はDNA修復酵素の働きによって速やかに修復されます。大きなDNAの障害が生じた場合は、アポトーシス(細胞が自ら死んでいく)で除かれていきます。

がん遺伝子やがん抑制遺伝子の変異も、一個だけではがん化は起こりません。複数のがん遺伝子やがん抑制遺伝子に異常が起こって、初めて自分勝手に増殖するがん細胞が生まれるのです。がん化を促進するものをプロモーターといい、それらが作用し、様々なメカニズムにより、がん細胞は徐々に多くの変異を獲得し、増殖速度も速くなり、悪性度の高いがん細胞に変化していきます。

アポトーシスが起こりにくく、増殖速度が速くなったがん細胞は、増殖の遅いがん細胞に代わり、より高悪性のがん細胞が優先的に増殖し、がん組織は悪性度を増す方向で進展していきます。これをがんのプログレッションといいます。すなわち、がんは進行するに従い、より増殖の速い悪性度の高いがんへと変わっていくのです。このように、イニシエーション、プロモーション、プログレッションというがんの進展は、遺伝子変異の蓄積の結果として起こります。これを『多段階発がん』といいます。
 
今回は口腔がんの発がんメカニズムなど比較的難しい内容でした。次回は口腔がんの見た目やその他の口腔粘膜疾患の特徴に関して説明させていただきます。
 

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 ムシバラボを運営するキーデンタルクリニックは、東京の赤坂見附駅から徒歩1分、永田町駅から徒歩3分の歯科医院です。できるだけ抜かない削らない治療を心がけ、痛みの少ない治療方法や先進治療を取り入れることで患者様の負担を軽減するようにしています。良い歯医者さんと巡り会えない方は是非一度、ご来院ください。


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