こんにちは、キーデンタルクリニック歯科医師の若松慶太です。今回は近年のデジタル化により可能になった光学印象(デジタルスキャン)について説明したいと思います。大きなメリットがあるため、最近になって一般の歯科でも徐々に普及し始めている治療になります。

光学印象(デジタルスキャンとは)

　従来の歯科の治療では、虫歯を削り形を整えたのち、トレーに印象剤(粘土のような型どりの材料)を盛り、歯列に圧接し、歯の型をとる方法が一般的でした。
しかし近年のデジタル化により口腔内スキャナーというものが開発され、お口の中を高精度のカメラによる撮影をすることで型どりが可能になりました。口腔内カメラで一秒間に数千枚の写真撮影を行い、パソコンに３Ｄのデータとして転送することで従来の型どりのかわりになるのです。
それにより患者さんにとっても私たち医療従事者にとっても大幅なメリットが得られるようになりました。

どんなメリットがあるの？

◎撮影は比較的短時間(おおよそ2～3分)ですむため負担が減るだけでなく、従来必要であった咬み合わせの型どりや歯の色合いを確認するための写真撮影が不必要になるので大幅に時間短縮にもなります

◎従来では採った型に石膏を流し、模型を作って詰め物、被せ物などを作製しますが、データとして技工所に転送するため、作る過程でのエラー、ミスが起こりづらく、精密な詰め物、被せ物が作製可能です。
またデータとして残るので管理が容易になり、後々に確認したりすることも可能です

◎従来の型どりでは嘔吐反射(材料が口の奥に入ると吐き気を催してしまう反射のこと)がある患者様だと難しかったり、異物感により強い不快感を与えてしまうことがありましたが、そういった患者様でも型どりが可能になりました

◎高画質な３Ｄ写真が得られることで、歯並びや磨き方の指導にも使えたり、より分かりやすい説明をすることが可能になりました

まとめ

　いかがでしたでしょうか？口腔内スキャナーによる光学印象の有効性は近年大きな話題になっていますが、実際のところ導入している医院はまだ少ないのが現状です。
理由としてスキャナーが登場してから年数も浅く、症例も少ないため、導入を先送りにしている、導入にかかる費用が高額であることや、保険診療ではまだ適用されておらず保険診療メインの歯科医院ではあまりメリットがないことなどが考えられます。
しかし不快感を少なく、精密な型どりが可能になった光学印象で作った詰め物、被せ物はやはり長持ちしますし、歯科医院での治療を考えている方がこの記事を読んで光学印象に少しでも興味を持っていただければ幸いです。