こんにちは、キーデンタルクリニック歯科医師の若松慶太です。
今回は歯科における定期検診の必要性についてお話したいと思います。新型コロナウイルスの影響で、不要不急の外出自粛が叫ばれてきた今、歯科医院に行くのを躊躇している方も多いかと思います。しかしウイルスが終息したら、ご自身の健康を守るためにもまた定期検診に通っていただければと思います。ではなぜ痛くもないのに歯科受診をするべきなのかについて説明いたします。
定期検診でみつけられる病気にはどんなものがある?
では定期検診でどのようなことがわかるのか、まずは気を付けなければいけない病気でよく見受けられるものについて説明します。
虫歯
虫歯は痛くなったら歯医者に行けばいいという考えがありますが、それは間違っています。痛みがでてから虫歯治療を行うと多くの場合、神経を抜かざるを得なくなることが多く、治療の期間も回数も多くなります。また神経を抜くことで歯の寿命も縮めてしまいます。定期検診で予防、早期発見に努めることで詰め物などですむことが多いのです。
歯周病
次に歯周病です。歯周病はとても怖い病気で、30歳以上の方の8割近くが罹患しているといわれる病気であり、歯を失う原因では最も多い病気です。さらに無症状で進行していくため“沈黙の病気”とも呼ばれます。気づいたときには歯を抜かざるを得なかったり、延命処置で精いっぱいになることが多いです。定期的にクリーニングをし、歯茎の状態を確認、歯周病の検査、レントゲン写真を撮るなどして歯周病にならない、進行させないことが歯を失わないために必要不可欠だと言えます。
咬み合わせの異常やブラキシズム
咬み合わせの異常も起こりやすい病気です。親知らずや合ってない詰め物、被せ物の長期使用など様々な原因で負担過多な歯が痛みを引き起こしたりする場合があります。定期検診でチェックし、咬み合わせの調整や場合によっては矯正治療を提案させていただきます。
またブラキシズムも多くの人にみられますが、気づきづらい病気です。歯が擦り減ったり、顎関節への影響を及ぼす場合にはナイトガードなど提案させていただくことがあります。
知覚過敏
知覚過敏は非常に多くの方にみられる病気で、主に歯の表側(頬側)が削れたり、歯の根っこの部分が露出することで冷たいものでしみたりします。原因は歯周病によるものや歯ブラシの不適切な当て方や強さ、咬み合わせやブラキシズムによると考えられています。放っておくと症状が強くなることもあるので、早めに歯医者でチェックしてもらい、改善策を考えましょう。
詰め物、被せ物の不適合
合っていない詰め物、被せ物もよく見受けられます。気づかずそのままにしておくと汚れがたまり、虫歯、歯周病が進行する原因になったり、咬み合わせが崩れたりします。早期発見、再治療が大事です。
粘膜疾患
一番気を付けなければならないのはこの病気です。悪性腫瘍などの場合は早期発見、早期治療が大事ですが、早期では無症状のためなかなか自分で気づけません。また口の中が不衛生だったり、虫歯の放置や合わない詰め物、被せ物、入れ歯などの長期使用などにより発生率が高くなることも分かっています。歯科医は歯だけでなく口の中全体を診れますので定期検診でチェックしてもらいましょう。
歯のクリーニングで病気を予防しよう
定期検診におけるチェック、早期発見がとても大事だということについては説明させていただきました。しかしそれだけが定期検診の目的ではなく、定期検診の一番のメリットは予防にあります。磨けていない部位の説明や歯磨き指導、クリーニングは虫歯、歯周病を防ぐためにとても有効とされています。
日頃の歯磨きで磨けていない部位を衛生士から指摘してもらい、ブラッシングの方法やおすすめのブラシを説明してもらったり、歯間ブラシやフロスなど補助器具の指導をうけることはとても重要です。なぜなら自身でのケアこそが予防において最も重要なパートだからです。その後に歯石の掃除やPMTCと呼ばれる歯科医院専用の器具を用いてクリーニングすることで、ブラッシングでは落とせない歯の表面についたばい菌の膜をきれいにできます。これらが予防の効果を飛躍的に高めることが分かっています。最後にフッ素を塗り、虫歯になりづらい歯を手に入れましょう。
日本とスウェーデンの違い
ここまで定期検診の重要性についてのお話をしてきましたが、本当に定期検診で歯を一生健康に使えるのでしょうか?ここで特に予防歯科における先進国として有名なスウェーデンを例にあげてみます。スウェーデンでは1970年代から国をあげて本格的な予防歯科のプロジェクトに取り組み始めました。そして現在では予防歯科界において世界でも最も成功している国になったのです。もちろん国の政策における違いはありますが、注目すべきは国民の意識の違いです。
日本では定期検診受診率は10%以下といわれ、予防歯科について認知している人は20%なのに対し、スウェーデンでは成人の定期検診受診率が90%近くあり、予防歯科の概念を認知している人の割合は6割近くに上るのです。その意識の違いは80歳での平均的な残存歯数に現れています。
人の歯は元々親知らずを抜くと28本ですが、80歳になると日本では約7本、スウェーデンでは約20本となっています。入れ歯には限界があるため、歯があるほうがおいしく食べられるのはもちろんのこと、歯がなくなった場合は治療費も高くなりがちで、結果的にデメリットが多くなります。
まとめ
予防への意識が大切だということを理解し、自分に合った歯科医院で定期的に診てもらうようにしましょう。私たちは歯科を通して皆さんが生涯健康に過ごしていくためのサポートができればと思います。
確かな技術で納得の治療を
ムシバラボを運営するキーデンタルクリニックは、東京の赤坂見附駅から徒歩1分、永田町駅から徒歩3分の歯科医院です。できるだけ抜かない削らない治療を心がけ、痛みの少ない治療方法や先進治療を取り入れることで患者様の負担を軽減するようにしています。良い歯医者さんと巡り会えない方は是非一度、ご来院ください。