こんにちは。歯科医師の杉田大です。
ちゃんとした離乳食の食べさせ方ってご存知ですか?街のお店で離乳食を食べさせているお母さんを見るとなんと8割以上の人が間違った食べさせ方をしています。
間違った食べさせ方をしているとどうなってしまうのでしょうか?
食べ物の好き嫌いが多い子になったり、なかなか食べてくれない子になったり、お口の周りの筋肉の発育が遅れてしまったり、最終的には顎の成長力が不足して歯並びが悪くなってしまったりしてしまいます。
そんな乳歯が生え揃わないうちに大人になってからの歯並びが決まるの?
と思う方が多いかと思いますが、
離乳食の食べさせ方は子どもの人生に大いに関係あります!
今回は歯科医が教える正しい離乳食の食べさせ方をまとめました。
噛む機能とは
大人が食事をしているのを見ると子どもは真似をして食べ物を欲しがります。
そこから離乳食のスタートです。
人間はおっぱいを飲む動きは遺伝子に刻み込もれたもので生まれたときから無意識に持っています。
しかし、噛むということは赤ちゃんが意識的に行うもので元々備わっていません。
そして自由にしてたら自然に獲得できるものでもありません。
お母さんお父さんが段階に応じて食事の大きさと量と硬さと味を調節して教えていくものなのです。
噛むことの大切さの記事はこちら
まだしてないの!?よく噛むことで美と健康を手に入れる9つの事http://dental-iq-salon.com/beauty/yokukamu/
ダメな離乳食の食べさせ方
典型的な例を1つ紹介します。
ちっちゃいスプーンにいっぱい食べ物を乗せ奥の方に入れてスプーンをなすり上げて食べさせる。
①スプーンいっぱいの食べ物
1回の量が多すぎると口の中がいっぱいになり舌がうまく動かせなくなってしまいます。
食べ物を口の中から出してしまったり、イヤイヤの原因になってしまいます。
②スプーンをなすり上げて食べさせる
赤ちゃんは何もせず口の中に食べ物が入ってくる状態です。
口の周りの筋を使わなくなりますから、口元が下がりやすくポカンとお口を開けて口呼吸になりやすくなります。
ちっちゃいお子さんは食べるのに時間がかかります。
時間のないお母さんは早く食べてほしいので、こういった食べさせ方になってしまうのはわかりますが、お子さんの成長発育の為に時間を取っていただきたいです。
ママに知っていてほしい7つのこと
では良い食べさせ方とはどういったものなのでしょうか?
7つのこととしてまとめました。
①適切な1回の量
スプーンの1/2から1/3の量にします。
量が多いと食べ物を出してしまったり、飲み込まず溜め込んでしまったり、丸呑みしたり、喉につまらせてしまったりしてしまいます。
②適切な食べさせ方
食べさせ方としては3つの注意点があります。
・舌の奥に食べ物を入れない
・しっかり飲み込んでから次を食べさせる
・口の前に持っていき自分で上唇を使い食べさせる
3つ目ポイントが1番大切で、自分の上唇を使わせることでお口の周りの筋トレになり口元がしっかりとして、お口の周りの発育が促され適切な鼻呼吸を獲得しやすくなります。
我が子を口呼吸にはさせてはいけない!怖い口呼吸の記事はこちら
口呼吸の恐怖!全ての不調は口から始まる!? http://dental-iq-salon.com/healthy/kuchikokyu/
③適切な姿勢
机と椅子の高さを適切にしなければいけません。
自分で掴んで食べる時期になった時に、あまりにアンバランスな机と椅子の高さの状況や足がプラプラしている状況は噛む時に力が入りにくくなってしまい、食事に集中出来なく飽きっぽくなってしまいます。
④食事に集中する
先程も話に出てきましたが、食事の時間はしっかりと集中して食べさせてあげることが重要です。
食事の時間はおもちゃやテレビなどの刺激を遠ざけて、家族と一緒に食べることで食事の楽しさを教えてあげてください。
⑤かじり食べ
段階によってはわざと一口で食べれない大きさに切ることで、かじり取るということを覚えさせることも大切です。
かじり取るということは前歯と上唇を使いお口の周りの筋肉の発育を促し、自分が食べることができる一口の量を覚えることに繋がります。
これが出来ないと、食べ物をお口に詰め込みすぎて中々飲み込めず、食べ物を吐き出してしまったり、喉につまらせやすかったりということに繋がります。
⑥おやつ≠お菓子
つい考えがちなのは、おやつと言うとお菓子や甘いものを食べると思ってしまいますが、赤ちゃんに対してのおやつは考え方が違います。
赤ちゃんはまだ発育途中でエネルギーが大量に必要ですが、消化する内臓がまだ大きくありません。
なので、3回の食事では十分な成長に必要なエネルギーが得られません。
それを補うために3食の間に食べさせるのがおやつです。
その成長に大切なおやつの時間にお菓子を食べさせるとどうなってしまうでしょうか?
一般的なお菓子は味が濃く、柔らかく、よく噛まないで食べられるものが多いです。
それを多く食べた結果、離乳食を特に野菜を嫌がるようになってしまいます。
野菜本来の自然な味や匂いや繊維質は大切に教えてあげましょう。
⑦食事中の水分
赤ちゃんは唾液が十分に出るので食事中に水分は飲ませなくても大丈夫です。
むしろ、よく噛まずに流し込むことを覚えてしまったり、水分でお腹いっぱいになってしまい、せっかくのご飯をあまり食べなくなってしまうことに繋がってしまいます。
水分は食事の後に与えるようにしましょう。
ちなみに一般的なジュースなど清涼飲料水は一見子どもには最適に思えますが、味覚の発育途中の乳児には甘すぎます。
自分が飲んだ時に味気ないと思うぐらいがちょうどいいと思ってください。
それと清涼飲料水を哺乳瓶で与えることは虫歯を爆発的に増やします。
注意しましょう。
意外と乳児が食べにくい物
大人は全く思わなくても歯の生えそろっていない乳児には食べにくい食べ物が存在します。
いくつか紹介します。
・わかめなどペラペラした物
・こんにゃくなど弾力がある物
・トマトなど皮が口に残る物
こういったものは乳歯の奥歯が生えそろう2歳過ぎまでは食べにくい物になります。
嫌がるようでしたら生えそろうまでは無理に食べさせないようにしましょう。
離乳食と卒乳
一般的に1歳を超えると離乳食から栄養を十分に吸収することができるようになります。
そうなると母乳は必要ないとされ断乳の時期と言われていますが、親子の絆のコミュニケーションとして、子どもが自発的にやめるまでは母乳を与えるというのが今の卒乳の考え方です。
しかし、母乳だけが絆を形成させるものではありません。子どものペースに完全に合わせるのでなく少しづつ頻度を下げていくことが大切です。
特に、「泣いた子どもをあやすために母乳をあげる」「寝かしつけるために母乳をあげる」こういった母乳の上げ方はあまりいいあげ方とは言えません。
母乳をあげるタイミングは離乳食の後と決めることで、自然と子どもの方から卒乳することを促してあげてください。
まとめ
色々と細かくお話してきましたが、あまり気張りすぎて考え過ぎないでください。
育児はただでさえ大変です。息抜きすること楽しむことが重要です。
今回のことで1番伝えたいことは、子どもとの食事の時間をゆっくり取ってくださいということです。
今回正しい離乳食のことを学んだことで、あなたのデンタルIQが上がりましたね。
デンタルIQを上げて素敵な笑顔と健康を手に入れましょう。
参考:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/s0314-17.html
著者
杉田 大(すぎた ひろし)
東京歯科大学平成25年卒
千葉県船橋市 杉田歯科医院 勤務
㈱Doctorbook 顧問
歯想会(JAND) 副会長
趣味 バレーボール
大学卒業後診療を続けていく中で、 もっと広く口の中の知識を広めたいとDental IQ Salonを立ち上げる。 知ってて欲しい歯の知識を分かりやすく解説。 デンタルIQを上げて素敵な笑顔と健康を手に入れる記事を執筆中。
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