20歳前後で生えてくることが多い「親知らず」。真中から数えて8番目の、正式には第三大臼歯と呼ばれる永久歯です。全部で4本ある親知らずは病気になりやすいのか、痛みを感じたときはどうすれば良いのかについて説明してまいります。
親知らずは正常に生えにくいのか
他の28本の永久歯とは異なり、正常に生えにくいと言われる親知らず。なぜ、親知らずは問題を抱えてしまうことが多いのでしょうか。
生える時期が遅いから
他の28本の永久歯は、遅くとも15~16歳ごろにはすべて生えそろいますが、最後の歯である4本の親知らずは、17歳~25歳ごろに生え始めます。
すでに歯並びもある程度決まった後に生え始めますので、まっすぐに生えずに、横向きに生えたり、歯茎の中にとどまったりすることがあるのです。
生えるスペースが狭いから
乳歯は20本しかありません。上下に10本ずつ生えている場所に、永久歯が14本ずつ生えるのですから、本来ならば歯の1本1本が小さくなるか、がたがたに生えてしまうはずです。でも心配はいりません。幼児期から学童期にかけてあごも大きくなっていきますので、無理なく10本のスペースに14本の歯が生えることができるのです。
しかし、15歳を超えてからは、幼児期のときのように急激にあごや顔の骨格が大きくなりません。骨格はそれほど変わらないのに歯だけが4本生えようとするわけですから、正常にまっすぐ生えにくくなってしまうのです。
噛み合わないときもあるから
28本の永久歯が生えそろった段階で、すでに噛み合わせが完成していることが多いです。その完成された状態に4本の親知らずが割り込んでくる形になりますので、まっすぐではなく斜めや横向きに生えることもあるのです。
また、この4本の親知らずは、すべてが生えるとは限りません。1本も親知らずが生えないまま過ごす人もいますし、4本のうち1本だけ、2本だけと一部だけ生える人もいます。上下の2本がどちらも生えるとは限りませんので、うまく噛み合わず、結果として生え方がずれてしまうこともあるのです。
親知らずの異常とは?親知らずの色々な生え方
下の歯はまっすぐに上向きに、上の歯はまっすぐに下向きに生えるのが、歯の正しい生え方ですが、生え始める時期やスペース上の問題、噛み合わせの問題によって、正常な向きで生えない親知らずはたくさんあります。どのような生え方の異常があるのでしょうか。
頬に刺さってしまうことも!横向きの親知らず
まっすぐに生えずに、歯が横向きに生えることもあります。舌の方に倒れて生えることもありますが、頬の方に倒れて生えることもあり、場合によっては頬を傷つけてしまいます。親知らずの長さが短い場合でも、話したり食べたりするときに頬を傷つけ、強い痛みを感じることもあります。
虫歯になりやすい!短い親知らず
第二大臼歯(親知らずの1本手前の歯)と比べて長さが短いために、磨き残しが多くなり、虫歯になってしまう親知らずもあります。親知らずだけでなく第二大臼歯の奥側面も磨き残しが多くなってしまい、両方の歯が虫歯になるケースも少なくありません。
レントゲンを撮らないと分からない親知らず
歯の本数を数えてみると32本もないので、「親知らずは生えなかったのかな?」と思っていたのに、歯のレントゲンを撮ってみると、歯茎の内部に親知らずが映っていることもあります。
歯茎内部で縦向きに生えている場合や横向きに生えている場合、まれにさかさま(下の親知らずなのに下向き、上の親知らずなのに上向き)に生えていることもあります。特に痛みがなく他の歯根にも影響を与えていないときは、放っておいても問題ありません。
1つの場所に2本も?割れた状態で生える親知らず
歯茎の内部で親知らずが成長するとき、何らかの理由で2つに割れてしまうことがあります。そのまま2本が歯茎から顔を出し、親知らず1本のスペースに細い歯が2本生えることもあります。
2本に割れた親知らずが本来の大きさで生えるなら、特にトラブルの原因にはなりませんが、本来以上の大きさに成長すると他の歯を押すことになってしまい、歯列への悪影響や痛みが出ることもあります。
第二大臼歯の歯根を押すように生える親知らず
前側に倒れるように親知らずが歯茎の中で成長すると、第二大臼歯の歯根を押しつけることになってしまいます。痛みが出ることもありますが、痛みが出ない場合も、第二大臼歯の歯根が徐々に親知らずに吸収されて細くなってしまうこともあるので治療が必要になります。
特に問題がない親知らずは抜いても良いか
まっすぐに生えないだけでなく周りの歯や歯根、口内環境にまで影響を与えることがある親知らず。こんなにトラブルが多いのなら、初めから全部抜いてしまう方が良いと考える人もいるでしょう。親知らずに対してどのような処置を取ればよいのでしょうか。
あってもなくても問題なし
親知らずは、他の28本の歯とは異なり、きちんと生えたとしても、生えなかったとしても特に健康には影響を与えない歯です。ですから、もし生えていなかったとしても「親知らずが足りない」と悩むことはありません。反対に、きちんと生えてトラブルがないときは、わざわざ抜くこともないのです。
虫歯になるのはイヤ!初めから抜くのはアリ?
きちんと生えたとしても、一番奥の歯ですから磨き残しが多くなってしまい、そのため、虫歯になる可能性も高くなってしまいます。虫歯になる前に抜いてしまおうと考える人がいても、別段極端な意見ではありません。
将来、奥歯に虫歯が出来たり歯が欠損したりしたときに、親知らずを前方に移動させることで欠損部をカバーしたり、親知らずを土台としてブリッジ治療を進めたりすることができるかもしれません。また、歯を抜いたところに親知らずを移植することができる場合もあります。親知らずがあることで特に不便を感じていないならば、わざわざ抜くことはないと言えるでしょう。
親知らずがトラブルの原因になっているとき
親知らずが特にトラブルの原因になっていないときは、わざわざ抜くことはありませんが、親知らずが横向きに生えたり、歯列不整や虫歯の原因になったりしているときは、速やかに抜歯することが勧められます。
痛みを感じたらすぐに歯科医院へ
親知らずや周辺の歯・歯茎に痛みを感じたら、すぐに歯科医院に行き、原因を突き止め、治療してもらうようにしましょう。歯茎の内部で第二大臼歯や第二大臼歯の歯根を侵食している場合にも、早めに治療を開始すれば、トラブルは最小限に抑えることができます。
時間をかけて歯列全体をガタガタにしてしまうこともありますので、なるべく早く気付いて、治療を開始することが大切です。ほとんどのケースにおいて、早めに親知らずを抜くことで治療が終わります。親知らずが横向きや歯茎内部で生えているときは切開手術が必要になることもあります。
親も知らない親知らず!自分できちんと管理しよう
親知らずのトラブルは20歳を過ぎてから徐々に増えていきます。毎日のオーラルケアをきちんと実施し、健康な状態で永久歯全体を一生使えるように管理していきましょうね。
確かな技術で納得の治療を
ムシバラボを運営するキーデンタルクリニックは、東京の赤坂見附駅から徒歩1分、永田町駅から徒歩3分の歯科医院です。できるだけ抜かない削らない治療を心がけ、痛みの少ない治療方法や先進治療を取り入れることで患者様の負担を軽減するようにしています。良い歯医者さんと巡り会えない方は是非一度、ご来院ください。