智歯周囲炎、あまり聞き慣れない名前ですが、これは親知らずの歯茎の炎症のことです。親知らずがある人は、ほとんどの人が経験するものだと言っていいでしょう。親知らずの周囲の歯茎というのは、よく赤く腫れて痛みを出しやすい場所で、食べる時に食べ物が触れると痛くて噛みにくいだけでなく、喉に近いので飲み込むのも辛いこともあったり、など、苦痛を伴うものです。今回は智歯周囲炎の原因、その症状や治療法などについて解説していきます。
智歯周囲炎の原因
智歯とは親知らずのことで、親知らずの歯茎が炎症を起こしている状態が智歯周囲炎です。親知らずは一番奥に位置しているため、歯ブラシが届きにくく、磨こうと意識して磨かなければ高確率で磨き残しが出やすいところです。そのため、親知らず周囲に大量に細菌が繁殖することになり、その周囲の歯茎が炎症を起こしてしまいます。加えて、親知らずは他の歯と違い、生えてくるスピードがゆっくりで、中途半端に生えている状態が長く続いて不潔な状態になりやすいのも炎症を起こしやすくなる原因です。そしてさらには、親知らずはもともと横向きや斜めに埋まっていることも多く、このような場合には歯と歯茎の間に深い溝が存在し、その部分に細菌が繁殖しやすくなるため、頻繁に炎症を起こしやすくなります。
智歯周囲炎の症状
智歯周囲炎では次の様な症状が見られます。
1.歯茎が赤く腫れる
親知らず周囲の歯茎が赤く腫れ、出血しやすくなります。大きく腫れてくると、噛み合う歯が腫れた歯茎を噛んでしまうこともあります。
2.歯茎が痛い
歯茎の炎症により、鈍い痛みが出たり、噛むと痛かったりというような症状が出ます。酷くなってくると膿をもってヅキヅキ痛みを出すこともあります。
3.歯茎から膿が出る
膿んだ歯茎の溝から膿が排出されることもあります。
4.強い口臭
細菌が繁殖しているのと、排出される膿の臭いで強い口臭が出ることがあります。
5.唾を飲むと痛い
親知らずは喉に近いため、その周囲に炎症が起こると唾や飲食物を飲み込むたびに痛みを出すことがあります。
6.口が開きづらくなる
親知らず周囲の炎症が周囲に広がると、口が開きづらくなることがあります。
7.頬、リンパ節の腫れ・発熱
ひどくなると頬や顎の下のリンパ節が腫れたり、38度程度の熱が出たりすることもあります。
智歯周囲炎になってしまったらどんな治療法がある?
智歯周囲炎になってしまった場合、歯医者で次のような対処を行います。
1.歯茎の洗浄・消毒をする
智歯周囲炎を起こしている歯茎は、歯茎の溝の中に細菌が繁殖しているため、内部を生理食塩水やイソジンなどでよく洗浄・消毒します。
2.歯茎に抗生剤の軟膏を入れる
歯茎の炎症を早く落ち着かせるために、歯茎の溝の中に抗生剤の軟膏を注入する場合もあります。
3.歯茎の炎症を抑える薬を処方する
炎症をいち早く抑えるために、抗炎症剤、抗生剤などが処方されます。また、殺菌効果のあるうがい薬が処方されることもあります。
4.噛み合わせの親知らずを削る・抜く
智歯周囲炎を起こしている歯茎を噛み合わせの親知らずが噛んで刺激し、炎症を悪化・長期化してしまうことがあります。このような場合、向かいの親知らずの尖った部分を少し削って丸めて刺激しないようにしたり、その親知らずが抜いたほうが良いような状態の場合(むし歯、生え方が悪い、など)にはそちらの歯を抜くことで、智歯周囲炎を起こしている部分が安静な状態となり、治りやすくなります。
5.智歯周囲炎を起こしている親知らずを抜歯する
智歯周囲炎を起こしているからといって、最終的に必ず抜かなければならないわけではありません。なかにはきちんと生えるまで様子を見て問題ないケースもあります。しかし、明らかに横向きに埋まっていたり、倒れて生えているなど、きちんと生える見込みがなかったり、大きなむし歯を作っている、など悪影響が大きい場合には、歯茎の炎症が落ち着くのを待ってから、抜歯をすることがすすめられます。
確かな技術で納得の治療を
ムシバラボを運営するキーデンタルクリニックは、東京の赤坂見附駅から徒歩1分、永田町駅から徒歩3分の歯科医院です。できるだけ抜かない削らない治療を心がけ、痛みの少ない治療方法や先進治療を取り入れることで患者様の負担を軽減するようにしています。良い歯医者さんと巡り会えない方は是非一度、ご来院ください。