歯槽膿漏(しそうのうろう)とは歯茎の病気で、皆さんもテレビなどでも時々耳にすると思います。「膿」が「漏」れ出すという漢字の感じだけでも、膿が出て臭そう、というような印象を受けますね。しかし、歯茎の病気の名前にはこの他にも歯周病、歯肉炎、歯周炎などいくつかあって、全部違う病気なのか、それとも全部同じことを意味するのか、混乱している人も多いかもしれません。今回は歯槽膿漏とはいったいどのようなものか、また他の歯茎の病気との違い、歯槽膿漏の恐ろしさについて見ていきたいと思います。
歯槽膿漏とはどんな病気?歯周病との違いは?
歯槽膿漏の「歯槽」とは、歯を支えている「歯槽骨」のことです。この歯槽骨から膿が出てくる様子から、歯槽膿漏という名前がつけられています。歯槽膿漏は歯茎の病気ですが、進行してくると徐々に骨が溶かされていきます。そして、重度になるにつれ、歯茎から膿が排出されるようになり、しまいには骨が歯を支えられなくなって歯が抜け落ちてしまいます。
一方、最近よく耳にする「歯周病」というのは歯周病原菌による歯茎の病気の総称であり、その中には
- 歯肉炎;歯周病の軽度の状態で歯茎のみに炎症が見られる
- 歯周炎;歯周病が進行した状態で骨が溶かされ始めている
- 歯槽膿漏;歯周病が重度になり、歯茎から膿が出てくる状態
これらの全てが含まれます。つまり歯周病というのは、意味する範囲が広く、ちょっとした歯茎の炎症から歯が抜けるほどの重度のものまで、全てを指します。一昔前までは、歯茎の病気をいう場合「歯槽膿漏」という言葉が最もよく使われていましたが、実際は歯が抜けるような重度のものを意味するため、最近では「歯周病」という言葉を用いるようになりました。
歯槽膿漏の怖いところ
歯槽膿漏の怖いところ、感じするのは「歯が抜けてしまうこと」でしょうか。それだけでも十分怖いですが、実は歯槽膿漏になってしまうとそれ以外にもいろいろと怖いことが起こってきます。
歯槽膿漏の怖いところ
1.歯がぐらついて噛めなくなる
歯槽膿漏で歯を支えている骨が少なくなってくると、歯がぐらついてきます。動揺が酷くなると、しっかりと噛めなくなり、やわらかいものしか食べられなくなってきます。
2.歯が長くなって見た目が老けてしまう
歯槽膿漏で歯茎が下がると、歯が長く見えるようになってきます。そうすると、見た目がより老けて見えるようになります。
3.歯が移動し、出っ歯になってくる
骨が歯を支えられなくなってくるため、噛み合わせるたびに、下の前歯が上の歯を押して前歯が開いた出っ歯になってきて、見た目が悪くなってしまいます。
4.口臭が酷くなる
歯茎の溝(歯周ポケット)が深くなり、その深い溝に生息する歯周病原菌が悪臭を発します。また、膿が歯茎から排出されるようになって、その臭いも加わり、さらにひどい悪臭を周囲に発し、他人とのコミュニケーションに支障が出てしまいます。
5.歯茎が膿をもって腫れる
歯周病は酷くならないと症状をほとんど出しません。しかし、歯槽膿漏の段階になると、時々歯茎に膿を溜め、大きく腫れて強い痛みを出すことがあり、歯茎を切開しなければならなくなります。
6.歯が抜けてしまう
歯を支えている骨がなくなると、歯が抜け落ちてしまいます。
7.周囲の歯も巻き込んでしまう
歯槽膿漏で骨が破壊される場合、周囲の歯も影響を受けることがほとんどです。そのため、一気に何本もの歯を失う、ということもよくあります。
8.全身の様々な病気を引き起こしてしまう
歯槽膿漏の最も怖いことといえばこれでしょう。歯茎の出血により歯周病原菌が血管の中に入り込み、全身に回って体のいたるところに血栓を作って脳梗塞や心筋梗塞などを起こしたり、インシュリンの働きを阻害して糖尿病を引き起こしたり、妊娠中だと胎盤に影響を与えて早産を引き起こしたり、というような悪影響を起こすことがわかっています。また、唾液に混じって歯周病原菌が肺に入り込んで、肺炎を起こして高齢者のし亡原因になることもあります。
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