歯が痛いと歯に問題があると思うのが普通ですが、なかには痛い歯に全く問題が見つからず、歯とは関係ないところが原因である場合があります。このような「歯が原因でない歯の痛み」のことを非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)と言います。歯が原因であれば歯を治療すれば症状が改善しますが、非歯原性歯痛の場合は痛い歯を治療しても全く痛みが改善せず、原因が分からず苦しみ続けることになります。非歯原性歯痛とはどのようなものか、また、対処法などについて解説してきます。
非歯原性歯痛とは
■歯が原因じゃない歯痛って?
歯が原因ではないのに歯の痛みが起こる、ということはなかなか理解し難いものです。患者さんは明らかに歯の痛みを訴え、一刻も早い治療を希望しますが、実は周囲の筋肉や組織から来ている痛みであったり、神経痛であったり、心理的なものから歯に痛みを感じる場合もあるのです。
■無意味に神経や歯を抜かれてしまうことも
患者さんが特定の歯の痛みを訴えることで、歯を削ったり、神経を取ったり、抜歯をしたり、というような処置がなされてしまうケースもあります。しかし痛みの原因は歯ではないため、一向に改善は見られず、歯科医師との信頼関係が崩れたり、歯科医院を転々としたりを繰り返していくうちに、患者さんは心理的にも辛い状態になっていきます。
非歯原性歯痛の例
非歯原性歯痛にはどのようなものがあるのでしょうか?具体的に見ていきましょう。
1.筋肉痛からくる痛み
顎を動かす筋肉にしこりのようなものがあって痛みを感じ、それを歯の痛みと感じてしまうケースです。大抵は上下の歯の持続的な鈍い痛みとして感じることが多いです。
2.神経痛からくる痛み
脳に通じる神経のどこかに障害が起こることで痛みを感じます。50歳以上で起こることの多い瞬間的な発作性の神経痛のほか、帯状疱疹ウイルス感染が原因で長時間持続する神経痛もあります。
3.頭痛からくる痛み
偏頭痛や群発頭痛によって起こる痛みで強い歯の痛みを感じることがあります。痛みがまるで歯の神経の炎症に似た痛さで起こることもあります。
4.心臓の病気からくる痛み
心臓の病気(狭心症、心筋梗塞、心膜炎など)から歯の痛みを感じることがあることもわかっています。運動時に発作的に起こることが多いと言われています。
5.上顎洞(副鼻腔)からくる痛み
副鼻腔の一つである上顎洞は上の歯のすぐ上方に位置していますが、ここが風邪をひいたりして炎症を起こすと、上の奥歯の痛みのように感じることがあります。
6.精神疾患からくる痛み
精神疾患(うつ病や統合失調症など)で歯痛が現れることがあると報告されています。
7.原因不明の痛み
上にあげたどのケースにも当てはまらない、原因が不明である歯の痛みが起こる場合もあり、「非定型歯痛」と呼んでいます。40代以上の女性に多く見られ、歯科治療をきっかけに起こることもあります。脳の痛みを処理する過程で何らかの異常があるのではないかと考えられています。
非歯原性歯痛が疑われたら何科を受診する?
明らかに歯が痛いのに原因が見つからない、治療しているのに歯の痛みがなかなか良くならない、というような人は次々に歯医者を変えるという行動に陥りがちです。しかし非歯原性歯痛のケースではそのようなことをしても無意味な治療が繰り返されてしまうことになる危険性があります。もし原因不明の痛みで悩んでいる場合、歯や顔面の痛みの治療を専門に行っている診療科を受診してみるのも一つの方法です。大学病院などの大きな病院に設けられていることが多いので、「歯の痛みは歯が原因」だと決めつけず、受診した歯科医師に相談し、紹介してもらうと良いでしょう。
まとめ
非歯原性歯痛は原因がなかなか突き止められないゆえに長期間苦しんでしまうことがあります。そうならないためにも、非歯原性歯痛という「歯以外からくる歯の痛み」があることを自分自身が知ることがまず大切で、早めに専門の科を受診するのが辛い症状をいち早く解決する近道だと言えるでしょう。
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ムシバラボを運営するキーデンタルクリニックは、東京の赤坂見附駅から徒歩1分、永田町駅から徒歩3分の歯科医院です。できるだけ抜かない削らない治療を心がけ、痛みの少ない治療方法や先進治療を取り入れることで患者様の負担を軽減するようにしています。良い歯医者さんと巡り会えない方は是非一度、ご来院ください。