冷たいものを口に入れると歯がしみる知覚過敏症。実は日本人の4人に1人はかかっていると言われているほど、身近なものです。テレビのコマーシャルでも知覚過敏用の歯磨き剤が宣伝されていることから見ても、とても良くあることだということが分かると思います。歯がしみると虫歯かな？と思ってしまいますが、実はこの知覚過敏が原因であることも多々あります。今回は知覚過敏とはどういうものか、原因は何か、治療法にはどのようなものがあるのか、などについて解説していきます。

知覚過敏とは？どんな症状が出る？

　知覚過敏の症状で代表的なものは「冷たいものでしみる」というものですが、しみるのは冷たいものだけとは限りません。知覚過敏の症状には次のようなものがあります。

■知覚過敏の症状

• 冷たい物でしみる
• 冷たい風でしみる
• 温かいものでしみる
• 歯磨きをするときにしみる
• 酸味の強いものでしみる

■虫歯との症状の違い

　虫歯も知覚過敏も「しみる」という症状が現れますが、症状の出方に違いがあります。虫歯の場合は初期の頃には冷たいものや甘いものがしみますが、進行してくると温かいものがしみるようになり、そのうち何の刺激を与えなくても痛みが出てきます。また、進行するにつれ、一度しみるとしばらく痛みが続くようになってきます。それに対し、知覚過敏の場合はしみる症状が出ても短時間（長くても１分以内）で症状が消えるのが特徴で、虫歯のようにだんだん痛くなっていくということは通常はありません。

知覚過敏の原因

　知覚過敏の原因は主に、歯茎が下がったり歯の噛む面がすり減って、象牙質という歯の層が出てしまうことによって起こります。象牙質は様々な刺激を神経に伝えやすいため、象牙質が出てしまうとしみてしまいやすいのです。

■知覚過敏を起こす原因

1.歯周病

　歯周病が進行してくると、歯茎が下がってくるため歯がしみやすくなります。

2.加齢による歯茎下がり

　歯茎は加齢によっても少しずつ下がってきます。それに伴い知覚過敏が現れることがあります。

3.歯磨きの力が強すぎる

　歯ブラシでゴシゴシ力を入れて磨いていると、歯茎が下がりやすくなってしまいます。また、強すぎる力で磨き続けることで歯がすり減ってしまい、余計にしみるようになってきます。

4.歯ぎしり、食いしばり

　歯ぎしりや食いしばりをしていると、歯の噛む面が異常にすり減ってしまい、象牙質が出てきてしみることがあります。また、歯ぎしりや食いしばりは歯の根元に力をかけてしまい、歯の根元がくさび状にかけてしまう「くさび状欠損」を起こし、そこからしみるようになることもあります。

5.酸性食品の取りすぎ

　炭酸飲料をよく飲んだり、酸っぱいものをよく口にする人は、その強い酸によって歯が溶けて象牙質が出てくることにより、しみる症状が出る場合があります。

6.虫歯の治療後

　虫歯を削った後というのは神経が過敏になっています。そのため、治療後はある程度の期間しみる場合が多く見られます。

7.ホワイトニングによるもの

　歯を白くするホワイトニングの薬剤でも施術中に知覚過敏を起こすことがあります。

8.歯が欠けてしまった場合

　歯をぶつけたりすることが原因で歯が欠けるとその部分からしみることがよくあります。

知覚過敏の治療法

　知覚過敏の治療法としては次のような方法が挙げられます。

■歯茎下がりが原因の場合

　まずは歯ブラシでゴシゴシ力任せに磨かないようにしてみましょう。優しく磨くだけで改善してくることもあります。また、知覚過敏用の歯磨き粉も効果がある場合が多いので試してみると良いでしょう。なかなか改善しない場合には、歯医者さんで知覚過敏用のしみ止めの薬を塗ってもらったり、材料でコーティングしてもらう方法もあります。

■歯ぎしりや食いしばりが原因の場合

　自分でコントロールが不可能な歯ぎしりの場合には、歯医者さんで就寝時にはめるマウスピースを作ってもらい、歯へのダメージを防ぐようにしましょう。くさび状欠損ができていてしみている場合には、樹脂の材料をその部分に詰めてもらうことでしみなくなります。

■虫歯の治療、ホワイトニングが原因の場合

　虫歯治療後の知覚過敏は治ることが多いので、あまり刺激しないようにして様子を見てみましょう。だんだん痛くなる場合には神経が弱っている可能性があるため、歯医者さんに相談しましょう。ホワイトニングの場合も一時的ですので様子をみましょう。

■かけてしまった場合

　歯が欠けてしみている場合には、虫歯に発展するのを防ぐためにも詰め物をしてもらいましょう。

まとめ

　歯がしみる原因は様々ですが、歯がしみてすぐに「知覚過敏だ」と決めつけるのはよくありません。虫歯が原因の場合もあるので、しみる症状が出てきた場合には一度歯科で診てもらうことをおすすめします。