歯根肉芽腫(しこんにくげしゅ)とは、歯根の先端部分にできる病変のうちの一つですが、そもそもは虫歯によって歯にあなが開き、そのあなから内部に入り込んだ口の中の細菌が原因となっています。虫歯というものは軽いうちに治してしまえば、治療期間を短く終わらせることができるのですが、歯根肉芽腫にまで発展してしまうと、治療しても治りづらくなってきます。また、歯根肉芽腫は神経を取ってかぶせ物をして数年経ってから見つかることもよくあります。歯根肉芽腫とは一体どのようなものなのか、見ていきましょう。
歯根肉芽腫とは
歯根肉芽腫とは、歯根の先端周囲にできるもので、通常は虫歯を放置して神経がしんでしまっている歯や、神経の治療が終わっている歯に起こります。肉芽腫は「腫」という名前が付いていますが、腫瘍ではなく、炎症が長く続いたことによって線維物質が過剰につくられてしまっている状態をいいます。
虫歯がひどくなると、中の神経が強く炎症を起こした後、壊ししてしまいます。その後、内部は細菌感染を起こし、根の先端から骨の外へと感染が進み、膿が溜まるのですが、その状態を放置していると、膿が吸収されて線維質の塊である「肉芽(にくげ)組織」へと変わっていきます。この状態が歯根肉芽腫と呼ばれます。これは、根の治療済みの歯の場合でも、根の中に細菌が残っている場合、それが歯根の外に膿を作ることで起こることがあります。この病気は歯科の中ではよく見かけるもので、治療も頻繁に行われています。
歯根肉芽腫の症状
歯根肉芽腫は一般的にそれほど強い症状を出しません。また、全く無症状の場合もあります。症状が出る場合としては次のようなものが挙げられます。
1.噛むと痛みや違和感がある
歯根肉芽腫の特徴として、強い痛みはなく、噛んだ時だけ痛んだり、違和感を感じたりします。また全く痛まない場合もあります。
2.歯が浮いた感じがする
歯根の先端に病変があるため、中の圧力が高まると、歯が押し上げられるような感じで浮いた感覚がする場合があります。
3.歯根の先端部分を押すと痛む
歯根の先端付近に病巣があるため、その部分を押すと痛みを感じることがあります。
4.歯茎にニキビのようなものができる
病変部に溜まった膿が歯茎に通路を作り、膿を排出することがあります。その出口はまるでニキビのように見え、膨らんだりつぶれたりを繰り返します。
5.時々疼く
普段はそれほど症状を感じることがなくても、体調が悪いときや疲れた時などに疼くことがあります。
治療しなくても良い場合と治療が必要な場合
歯根肉芽種は放置して自然治癒するものではありません。むしろ放置していると、悪化して「歯根嚢胞(しこんのうほう)」と呼ばれる、大きな膿の袋を作り、骨を大幅に破壊してしまい、歯自体を残せなくなることになりかねません。そのため、歯根肉芽種ができていると判断された場合には基本的にはなるべく早めの治療が必要になります。
歯根肉芽種ができているかどうかはレントゲン診査で分かります。歯根の周囲に骨が吸収されている像が確認されれば病変があるとみなし、治療が必要だと判断します。しかし根の治療を終えてすぐに骨ができてくるわけではないので、通常は治療が終わり治ってきているとしても、しばらくはレントゲンでの見た目は変わりません。そのため、その後歯根周囲の骨ができているかどうかは、定期的にレントゲンを撮りながらしばらく経過を観察していくこととなります。
そのため、レントゲンで歯根周囲に歯根肉芽腫のような透過像があっても、治療後まもないケースでは、「即、再治療が必要」とはならず、症状を見ながら、問題なければ経過を観察していくこととなります。
歯根肉芽腫がなかなか治らない場合には?
もしも根の治療を行いながら、なかなか症状が落ち着かない、というような場合には根の治療だけではなく、歯茎を切開して外科的に肉芽腫の部分を取り除く方法や、歯牙再植術と言って、一度歯を抜歯し、肉芽腫の部分を取り除いて再度植え直す、という方法が行われる場合もあります。
まとめ
虫歯がひどくなると、いずれは歯根へ、そして周囲の骨の部分にまで病気が広がっていきます。そうなると治療期間だけでなく、治療費もかさんできますし、何よりも歯を残せなくなる可能性が高くなってきます。そうならないためにも、まずは虫歯をつくらないのが一番です。定期的に歯医者さんで検診を受け、早期発見、早期治療に努めるようにしましょう。
確かな技術で納得の治療を
ムシバラボを運営するキーデンタルクリニックは、東京の赤坂見附駅から徒歩1分、永田町駅から徒歩3分の歯科医院です。できるだけ抜かない削らない治療を心がけ、痛みの少ない治療方法や先進治療を取り入れることで患者様の負担を軽減するようにしています。良い歯医者さんと巡り会えない方は是非一度、ご来院ください。