嚥下(えんげ)障害とは摂食(せっしょく)・嚥下障害とも呼ばれていますが、これは様々な原因によって、ものを食べたり飲み込んだりすることが困難になる状態のことをいいます。嚥下障害があると、食べ物が食道でなく気道の方に入ってしまい(誤嚥)、「誤嚥性肺炎」を起こしたり、食事がうまく取れないために栄養不足や脱水を起こしたりしてしまうことがあるので注意が必要です。今回は嚥下障害の症状、原因、治療法などについて解説していきます。
嚥下障害の症状
嚥下障害になると次のような症状がみられます。これらの症状に心当たりがある場合には早めに医師に相談したほうが良いでしょう。
- 食べる時にむせる
- 食べていなくても唾液でむせたりする
- 固形物を噛んで飲み込めない
- 飲み込んだ後も口の中に食べ物が残っている
- 食事に時間がかかる
- 食べると疲れて全部食べられない
- 声や息がガラガラしている
- 食べ物が喉につかえる
- 痰が多い
- 食べ物や唾液が口からこぼれてしまう
- 痩せてきた
- 水分を取りたがらない
- 食べ物や胃液が口の中に上がってきたり吐いたりする
- 肺炎や気管支炎を繰り返す
- 原因不明の発熱がよくある
嚥下障害の原因
嚥下障害を起こす原因としては、形態的な異常によるもの、神経や筋肉の障害によるもの心理的な原因、加齢によるものがあります。
■形態的な異常によるもの
生まれつきの奇形(唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)など)、歯の喪失、外傷、腫瘍などによって飲み込むのに必要な器官の形態に異常がある場合です。
■神経や筋肉の障害によるもの
形態的なものには問題がなく、飲み込む時に必要な筋肉や神経に障害がある場合です。
脳性麻痺、脳血管障害、パーキンソン病、脳外傷、脳腫瘍、重力筋無力症、歯の喪失による噛む筋力の低下などがこれに当てはまります。
■心理的な原因
認知症、摂食障害、うつ病などが原因で起こることもあります。精神疾患を持つ人における摂食障害が32%であるのに対し、そうでない人においては摂食障害が6%しかないという報告があります。
■加齢によるもの
老化に伴って筋力が衰えることで、食べ物を飲み込みやすい状態にできない、舌で食べ物を喉に送り込むことができない、飲み込む時に気道を十分に塞ぐことができないというようなことが起こりやすくなります。
摂食障害の治療
嚥下障害がある場合、放置していると機能はますます低下し、摂食障害はますます悪化していきます。そのため、早めに嚥下機能を回復するためのリハビリ治療が大切です。しかし、原因や程度によっては機能回復までは求めず、現状維持を目標にすることもあります。
治療の内容としては、嚥下機能の回復を目的とする機能訓練法、飲み込む際の流れを変える工夫を試みることで障害を改善させようとする代償的方法、そして手術で改善をする外科的方法があります。治療は耳鼻科や歯科口腔外科、リハビリテーション科などで行われています。
■機能訓練法
食べ物を使って行う「直接的方法」と食べ物を使わないで行う「間接的方法」があります。多くの機能訓練法が存在し、舌の筋力をつけるような訓練、頭を持ち上げることにより喉仏を挙上し、嚥下機能を改善する訓練、意識的に飲み方をコントロールする訓練などがあります。
■代償的方法
食べ物の流れを調整しながら誤嚥などの嚥下障害を改善していく方法です。首や体の角度、位置を調節して食べ物の流れを変える「姿勢調節法」、食べ物の性状を調節して飲み込みやすくする「嚥下調整食」、舌がんの切除後や脳血管疾患により舌の動きが制限された人などには「嚥下補助装置」をつける方法などがあります。
■外科的方法
重度の意識障害や認知症などによりたびたび誤嚥性肺炎を起こしているようなケースでは、リハビリ療法が難しいため、全身状態の悪化を防ぐ目的で手術が行われる場合があります。
まとめ
肺炎は日本においてはし因の第4位を占めています。この原因として、嚥下障害があるにもかかわらず、適切な処置がなされていないことで誤嚥性肺炎を起こしていることも大きく関係していると考えられます。これから高齢化社会を迎えるにつれ、このようなケースはますます増えてくることが懸念されますが、嚥下障害があると口からものを食べて栄養を摂ることが難しくなり、経管栄養や胃瘻などから栄養摂取せざるをえなくなって、食の楽しみを失われてしまうことになります。そうならないためにも、嚥下障害を早い段階で見つけて早めの対処をし、自分の力で長く食べられるようにすることが大切です。
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