歯は当たり前に全部生えてくるもの、と思いがちですが、なかには歯の数が生まれつき足りない人もいます。生まれつき数が足りない歯を「先天性欠損歯」と呼んでいますが、このようなケースは決して稀ではなく、日本小児歯科学会が2007年から2008年に行った全国調査によると、約10人に1人が永久歯の先天欠損歯があったという結果が出ました。つまり、これは誰にでも起こりうるものなのです。しかも歯の先天性欠損のある子供は年々増加傾向にあるとも言われています。先天性欠損歯があるとどのような悪影響があるのか、またその対策法などについて解説していきます。
先天性欠損歯の悪影響とは
先天欠損歯は1〜2本発生するケースがほとんどですが、数本発生する場合もあります。乳歯の場合は全部で20本、永久歯は親知らずを除いて全部で28本あるのが正常な本数ですので、それより少なければ先天欠損歯があるということになります。先天性欠損歯があると、その場所や本数によっては、歯並びがずれてしまったり、見た目が悪くなってしまったり、噛む機能に問題が出てくる可能性があるため、早いうちから注意・対策が必要となります。
先天性欠損歯が起こりやすい場所
先天性欠損歯は乳歯、永久歯のどちらでも起こりうるものですが、乳歯に起こるのは全体の0.5%程度と、かなり珍しいと言えます。先天性欠損歯が起こりやすい場所は、真ん中から数えて2番目の側切歯と5番目の小臼歯ですが、上よりも下の方に起こりやすい傾向があります。
先天性欠損歯の原因
先天性欠損歯の原因ははっきりとは解明されていませんが次のようなことが可能性として考えられています。
- 遺伝
- 薬物の副作用
- 全身的な病気
- 母体の妊娠中の栄養不足
- 歯の退化現象
先天性欠損歯があるかどうかを知るためには?
先天性欠損歯があると分かるきっかけは、ほとんどの場合、乳歯から永久歯になかなか生え変わらないためにレントゲンを撮ったり、他のきっかけで全体のレントゲンを撮ったりした時にわかる、というようなパターンです。ただ、なかには大人になるまで歯医者に行くきっかけがなく、先天欠損歯があるのに気付かない人もいます。それで特に問題にならないケースもありますが、多くの場合はいろいろと問題が起こってきます。
先天性欠損歯があるかどうかをできるだけ早く知るための一番いい方法は、子供の頃から定期的に歯医者さんで定期健診を受けることです。これは虫歯予防の観点からもとても大事なことだと言えますが、生え変わりを定期的に専門家に観察してもらい、異常があればレントゲンを撮ってもらう、ということがとても大切です。
先天性欠損歯の対処法・治療法
先天性欠損歯があると分かった場合、次のような対処法・治療法があります。
1.乳歯を長持ちさせるようにする
永久歯が先天性欠損している場合、抜けるべき乳歯はその後に続くはずの歯根を吸収する永久歯が存在しないので、長く抜けずにその場にとどまることになります。ただし一生生えたままということはなく、30代くらいまでに抜け落ちてしまうパターンがほとんどです。もし抜けてしまったら、その後は別の対処法が必要になってきますが、乳歯が使えるうちはなるべく虫歯にしないようになるべく長持ちさせる、ということが大事です。
2.矯正治療をする
永久歯が全部生えたら隙間を埋めるように自費で矯正治療をするという選択肢もあります。6歯以上の先天欠損のケースに関しては、2013年度より健康保険で矯正治療ができるようになりました(指定医療機関でのみの治療に限る)。
3.補綴治療をする
補綴(ほてつ)治療というのは、歯が抜けてスペースができたところに、隙間を埋めて噛めるようにする治療のことです。大きく分けて、ブリッジ、入れ歯、インプラントの選択肢があります。ただし、ブリッジやインプラントは顎の骨の成長段階では行うことができませんので、低年齢で乳歯が抜けてしまった場合には入れ歯でスペースを確保しておき、成人になってからブリッジやインプラントを行う、という手段が取られることが多いようです。
まとめ
先天欠損歯があっても、早い段階から手段を講じることでその後の人生で見た目にも噛む機能にも問題なく過ごすことが可能です。生え変わりがうまく行われているか、というのは専門家でなければわからないことが多いので、ぜひ定期的にお子さんを歯科医院で診てもらうようにしましょう。
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