舌痛症(ぜっつうしょう)とは見た目に何の異常もないのに、舌が痛くなる病気のことです。40代以降の中高年の女性が大半を占め、あまりの痛さに日常生活にも影響をきたしてしまう人もいます。見た目に異常がないことから、「異常ナシ」と判断され、適切な治療を受けられずに苦しみ続けている人も少なくないようです。今回は舌痛症が一体どのような病気なのか、またその原因、治療法などについて解説していきます。
舌痛症とは
舌痛症は「舌が痛い」という症状があるにもかかわらず、炎症などの異常は全く見られません。痛みが長期間にわたって現れるため、「ガンではないか?」と心配する人が多いですが、舌に痛み以外の異常は全くなく、また、舌痛症がガンに発展する、というようなこともありません。日本における舌痛症の発生頻度は全人口の0.7〜3.0%ほどと言われ、特に更年期以降の中高年の女性に多いことがわかっています。
舌痛症の患者さんはうつなどを患っていることが多く、大きな精神的ストレスを受けた後から発症することが多いことから、ストレスなどの心理的な要因が痛みを起こす大きな原因になっているとも考えられています。また性格的に神経質だったり、几帳面だったりするとかかりやすいとも言われています。
舌痛症の症状
舌痛症の症状には次のような特徴があります。
- 舌の先端や側面にヒリヒリ、ピリピリという焼け付くような、刺すような痛みが出る
- 痛みが長期間にわたって続く
- 痛む場所が一定せず、あちこち移動する
- 痛みは朝から夜まで続き、特に夕方以降に悪化する
- 食事中、会話中、何かに夢中になっている時には痛みを感じない
- 痛みで眠れない、ということはない
舌の痛みを起こす原因
舌の痛みを起こす原因として考えられるものには以下のものがあります。
1.ドライマウス
ドライマウスとは口の中の唾液が乾いてしまっている状態のことです。唾液は口の中を潤して粘膜を保護していますが、欠乏すると粘膜が荒れて痛みを感じやすくなります。ドライマウスになる原因としては、薬の副作用、口呼吸、全身疾患の影響(シェーグレン症候群、糖尿病など)、放射線治療の副作用などが挙げられます。
2.微量元素の不足
微量元素は体の機能を正常に働かせるために必要なものですが、特にビタミンや亜鉛、鉄などが不足すると組織の修復が遅れたりすることにより、痛みを感じやすくなります。
3.舌を刺激する歯など
歯並びが悪くて内側に傾いている歯や、虫歯やかけたままになっている歯、入れ歯の金具などが舌に頻繁に触れる機械的刺激により痛みを感じることがあります。
4.口腔カンジダ症
口の中の常在菌が異常に繁殖することによって口腔カンジダ症を起こすことがあります。口腔カンジダ症になると、白く膜が張ったようになり、その膜を拭い去るとその下は赤くただれたようになってピリピリとした痛みを感じます。
5.金属アレルギー
口の中の銀歯などによって口の中に金属アレルギーを起こすことがあり、ピリピリと痛みを出すことがあります。
以上は「舌が痛い」という訴えがあった場合に疑われる原因で舌痛症の原因ではありません。実際の治療現場では、上の原因に対する治療を行いながら症状がなくなるかを見ていきます。そして、どの治療を行っても改善しない場合に「舌痛症」であるという疑いが出てきます。
舌痛症の原因
舌痛症の原因は現在のところはっきりとしていません。原因として考えらえているものとしては次のものが挙げられます。
- 精神的ストレスなどの心理的な要因
- 更年期障害
- 痛みを感じる神経の異常
舌痛症の治療
舌痛症は原因がわかっていないため、症状を軽くする治療に重点が置かれます。治療方法としては主に心理的な負担を取り除く治療が有効とされており、薬物治療やカウンセリング、心理療法などを歯科医師が心療内科の医師と連携して行うことが多いようです。薬物治療で出される薬としては抗うつ剤(慢性の痛みを和らげる効果がある)、抗不安薬(患者さんの不安が強い場合)、抗胃潰瘍剤(舌の血流を改善する効果がある)、そして漢方薬が非常に効果を示す場合もあります。
まとめ
舌痛症と診断された場合、精神科や心療内科に紹介されることが多くあります。それは歯科的なアプローチだけでは限界があり、原因として大きい心理的なストレスを和らげたりする上でも精神科や心療内科と連携していく必要があるためです。また、うつ病に用いられる薬が慢性的な痛みを改善する作用があるため、そのような薬を専門的に扱っている診療科の協力も得ることが患者さんの辛い症状を楽にしていくことにつながっていくのです。
確かな技術で納得の治療を
ムシバラボを運営するキーデンタルクリニックは、東京の赤坂見附駅から徒歩1分、永田町駅から徒歩3分の歯科医院です。できるだけ抜かない削らない治療を心がけ、痛みの少ない治療方法や先進治療を取り入れることで患者様の負担を軽減するようにしています。良い歯医者さんと巡り会えない方は是非一度、ご来院ください。