近年、物を飲み込みづらいという子供や若い人が増えていると言われています。「物が飲み込みづらい」というとよく高齢者に見られる嚥下障害と同じもの?と心配になってしまう人もいるでしょう。子供がものを飲み込めなくなることについて、その症状にはどのようなものがあるのか、また対策などについて解説していきます。
最近多い子供の嚥下障害とはどんなもの?
子供の嚥下障害を起こす原因として、奇形や脳神経系の病気など生まれつきの病気が原因となっている場合もありますが、食べ方を身につけていく過程や環境に問題があることで起こる場合があります。近年増加傾向にあって問題になっているのは後者のケースです。
人というのは生まれつき「食べる」という動作ができるわけではなく、食べ物を口に入れてその情報を脳に伝え、脳からその食べ物に合った食べ方をするように口や喉などに指令が行くことで、食べることができるようになります。このような動作を繰り返していきながら、きちんと「食べる」という機能を発達させていくのですが、その環境に問題があると間違った食べ方を覚えてしまうことになります。
現代社会では加工食品を口にする機会が多く、その加工食品の多くはやわらかいため、あまり噛まないでも飲み込めるものばかりです。そのようなものばかり食べて育った子供というのは食べるのに必要な筋肉が発達せず、正しい食べ方というのが身に付かなくなってしまいます。そのため、ちょっと噛まなければならないような固形物が出てくると、うまく噛めずに飲み込めなくなってしまうのです。
こんな症状があったら嚥下障害の可能性が
次のような症状が見られたら、嚥下障害を起こしている可能性があります。
- 硬いものや繊維質のものを食べない、または口に入れても出してしまう
- 口をよくぽかんと開けている
- 飲み物で流し込むように食べている
- よくむせる
- 発音が舌ったらずである(特にサ行、タ行)
子供の嚥下障害はどのような悪影響を及ぼすか
子供の嚥下障害は次のような悪影響を引き起こす可能性があります。
- 歯並びが悪くなる
- 顎関節症を引き起こす
- 発音、滑舌が悪くなる
- 口呼吸になる
- ボーっとした顔つき(アデノイド顔貌)になる
- 栄養が十分に取れず虚弱体質になる
また、このまま年をとっていき高齢者になると、本格的な嚥下障害になってしまい、誤嚥性肺炎を起こしやすくなるなど、健康を損ねやすくなってしまいます。
子供の嚥下障害の対策
子供の嚥下障害を予防、または改善するためには、まず日頃から「よく噛む」ということが大事で、それにより自然に「飲み込む」力もついていきます。そのためには次のようなことを実践してみると良いでしょう。
1.口を閉じて噛むようにする
口を閉じて食べることはマナーの面でも大切ですが、それと同時に噛む筋肉や顎が強くなります。
2.飲み物や汁物で食べ物を流し込まない
食べ物をきちんと噛み砕かずに液体で流し込む癖がつくと、水分がないと飲み込めなくなってしまいます。飲み物や汁物は食べ物をきちんと飲み込んだ後に口に入れさせるようにしましょう。
3.やわらかいものばかり食べない
加工食品は極力控え、噛む必要のあるものを食事内容に組み込みましょう。食物繊維の多い野菜、きのこ類、海藻類、こんにゃくなどは積極的に取り入れましょう。また、丸のみできないくらいの大きさに切ったり、ある程度の硬さにしたりしてかじり取らせるようにする工夫も大切です。すでに飲み込みづらいお子さんは、細かく刻んだものからだんだんと噛むことに慣れさせ、段階を踏んでだんだんと大きくしていく、というようにすると良いでしょう。
4.大人もよく噛んでいる姿を見せる
子供によく噛ませるためにはまずは大人がお手本を見せることも大事です。子供は真似をすることが好きなので、親が噛んでいる姿を見ているうちに自然に噛めるようになることも多いものです。
5.食事時間はゆっくり取り、楽しい時間にする
よく噛んで食べさせるためには食事時間をゆっくりと取り、食べることが楽しいと思える時間にしましょう。急かして食べさせるとあまり噛まずに丸のみして食べることにつながってしまいます。
まとめ
噛んだり飲み込んだりする力をつけることは、顎やその周囲の筋肉の発達に大切なものですが、全身の健康や脳の発達にもつながってくることがわかっています。ぜひ、お子さんの食事内容や食べ方に注意を払い、噛む力、飲み込む力をきちんとつけてあげるようにしていきましょう。
確かな技術で納得の治療を
ムシバラボを運営するキーデンタルクリニックは、東京の赤坂見附駅から徒歩1分、永田町駅から徒歩3分の歯科医院です。できるだけ抜かない削らない治療を心がけ、痛みの少ない治療方法や先進治療を取り入れることで患者様の負担を軽減するようにしています。良い歯医者さんと巡り会えない方は是非一度、ご来院ください。