口腔(こうくう)がんとは口の中やその周囲の粘膜にできるがんのことです。胃がんや肺がんのようにあまり頻繁に耳にする言葉ではありませんが、近年口腔がんにかかる人が増えてきていると言われています。しかも認知度が低いために、目につきやすい場所にもかかわらず、放置されて手遅れになることがとても多いがんだとされています。口腔がんとは一体どのようなものなのか、その原因、治療法などについて見ていきましょう。
口腔がんとはどんなもの?
口腔がんと言ってもいろいろあり、できる場所によって次のように呼び名が変わります。
- 舌(ぜつ)がん
- 歯肉(しにく)がん
- 頬粘膜(きょうねんまく)がん
- 口蓋(こうがい)がん
- 口腔底(こうくうてい)がん
- 口唇(こうしん)がん
など
口腔がん自体の発生率は他の場所にできるがんに比べて低く、がん全体の1〜3%程度と報告されています。口腔がんで最も多く見られるのは「舌がん」で、全体の40%を占め、その次に多いのが「歯肉がん」です。口腔がん患者の80%は50代以上で、70代に最も多く見られます。
口腔がんの特徴
口腔がんの特徴としては次のようなものがあります。
■盛り上がっている
粘膜が出っ張って盛り上がっている(腫瘤)状態になっている場合、がんである場合があります。
■えぐれている
粘膜がただれている、または潰瘍になってえぐれている状態です。口内炎と似ていて放置されてしまうこともよくあります。2週間以上経っても改善が見られない場合は要注意です。
■白、または赤くなっている
白斑、または紅斑といって、粘膜が白っぽくなっていたり赤っぽくなったりしている場合、がん、またはその前兆である場合があります。
口腔がんの症状
がんは痛みを伴う感じがありますが、実は初期の段階では痛みをあまり出しません。痛みを出す頃には進行してしまっている場合が多く、命を脅かすことにもなるため、なるべく早く口腔がんの特徴を見つけ、早期発見をすることが大切です。次のような症状が続いている場合には口腔がんの可能性もありますので注意を払い、おかしいと思ったら歯科で診てもらいましょう。
- 口内炎のような潰瘍が2週間を過ぎてもなかなか治らない
- 口の中にできものがある
- 口の中にしこりができている
- 歯を抜いた後の傷がなかなか治らない
- 粘膜に出血しやすいところがある
- 粘膜に白や赤くなっている部分がある
- 口の内部や唇にしびれているところがある
- 粘膜に痛みがある
- 首のリンパ節がずっと腫れている
口腔がんの原因
口腔がんの原因となるリスクファクターとしては次のようなものが挙げられます。
1.喫煙
タバコは口腔がんの一番のリスクファクターと言われています。タバコを吸う人はそうでない人に比べ、7倍も口腔がんの発生率が高いという報告があります。
2.飲酒
飲酒も口腔がんリスクを高めます。特に、喫煙と飲酒両方をたしなむ人は相乗効果で非常に発がんリスクが高まるとされています。
3.粘膜への過度の刺激
虫歯で欠けた歯を放置していたり、かぶせ物や入れ歯の金具が合わずに粘膜を刺激しているような場合、そして熱いものを好んで食べるような場合には粘膜に過度に刺激が加わり、細胞ががん化するリスクが高まります。
4.ヒトパピローマウイルス
ヒトパピローマウイルスに感染していると口腔がんを発症しやすくなるというスウェーデンの大学での研究報告があります。
口腔がんの治療
口腔がんの治療は手術、放射線治療、化学療法のいずれかを単独で行う場合と、併用して行う場合があります。これはがんの場所、大きさ、悪性度、年齢など様々な条件を考慮した上で進められます。
まとめ
口腔がんは体の他の場所のがんに比べて自分でも発見しやすいのが大きな特徴です。初期の段階で発見できれば、簡単な治療で治すことができ、その後の予後も良好で、5年生存率は90%以上にすることができると言われています。しかし発見が遅れると、5年生存率が低くなるばかりか、舌や口の中の大事な部分を切除せざるをえず、見た目に影響が出たり、食べたり飲み込んだり、また話したりするのにも大きな支障が出てきます。皆さんもぜひ、日頃から自分の口の中をよく観察したり、歯医者さんに定期的に通って口の中を診てもらうようにすると良いでしょう。
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