セラミック治療といっても実は治療法は一つではありません。現在盛んに行われてきている新しいセラミック治療は「オールセラミック」と呼ばれるものですが、昔からセラミック治療としてよく行われてきている治療法は「メタルボンド」というもので、両者はどちらともセラミックを材料として使っていますが、同じものではありません。そのため、セラミックの治療を希望している人は、その違いをよく知っておく必要があります。

メタルボンドとは一体どのようなセラミック治療？

　メタルボンドは「メタル＝金属」「ボンド＝くっつける」というように、金属にセラミックをくっつけたもので、メタルボンドクラウンというかぶせ物の状態で作られます。つまり、内側が金属のフレームになっていて、その上にセラミックをくっつけてある耐久性の強いセラミック治療です。見える部分は全てセラミックになっていますので、外から金属が見えることは通常なく、審美性にも優れています。

　一方、審美性に特に優れ人気が高まっているオールセラミックは、比較的新しい治療法であり、「セラミックの治療」というと、まだまだメタルボンドを主流に行っている歯科医院が多いのが現状です。また、どちらの治療も行っている場合でも、患者さんの歯の状態によって強度が優先される場合などは、あえてオールセラミックよりもメタルボンドが勧められる場合もあります。

メタルボンドの値段、相場はどのくらい？

　メタルボンドは審美性に重点を置いている治療法であることから、保険適用にはなりません。そのため自費治療となり、値段は歯科医院によってまちまちです。また、メタルのフレームにどのような金属を選ぶかによっても値段が異なってきます。大体の相場としては７万円〜15万円くらいと幅があります。ここで注意したいのは「安いからいい」というわけではないことです。安い場合には安価な金属を使っている可能性があり、金属アレルギーなどの問題が起こりやすくなります。より安全な金属を使用するとなると、値段もその分高くなりますので、値段を確認する際は使用する金属がどんなものなのかも確認しましょう。

メタルボンドのメリット

1.メタルボンドは見た目が良い

　メタルボンドは見える部分にセラミックを使用しており、セラミックは透明感に優れることから、自然な見た目に近づけることができます。また、年数が経っても着色しないのが魅力です。

2.メタルボンドは強度に優れる

　メタルボンドは内側に金属を使用しているため、強く力がかかる部分やブリッジでも心配いりません。
　

3.メタルボンドは歯を削る量が少ない

　メタルボンドはオールセラミックと比較して、目に見えない歯の裏側は薄い金属になるため、歯を削る部分を少なくすることができます。

4.メタルボンドは歯ぐきに優しい

　メタルボンドは歯垢を寄せ付けないため、歯ぐきも健康的な状態に保ちやすくなります。

メタルボンドのデメリット

1.メタルボンドはオールセラミックよりも美しさが劣る

　メタルボンドは金属のフレームがあるため、強度には優れますが、その分オールセラミックよりも透明感に劣る傾向があります。また、使用している金属がイオンとなって溶け出し、歯ぐきを黒くしてしまう「メタルタトゥー」を起こす場合もあります。

2.メタルボンドは金属アレルギーのリスクがある

　メタルボンドの金属によっては金属アレルギーを起こす可能性があります。金合金などの貴金属を使うことでそのリスクは極力抑えることはできますが、そのような金属でもアレルギーを起こす人は稀にいます。

3.メタルボンドは値段が高い

　メタルボンドは保険がきかないため、ある程度の出費は覚悟しなければなりません。

まとめ

　メタルボンドは、以上のような特徴から主に強度を必要とする奥歯やブリッジなどに好んで使用されます。しかし、最近では金属よりも強いと言われるセラミック「ジルコニア」をフレームにして金属を一切使わないブリッジなども製作可能になってきています。興味のある人はジルコニアを扱っている歯科医院を探してみることをお勧めします。