親知らずに悩まされる人は少なくありません。親知らずが痛むのは厄介ですが、親知らずの抜歯というと「痛い」や「腫れる」という感じが強くて、なかなか抜歯するのに勇気が出ない人も多いのではないでしょうか。しかし親知らずが痛くても、必ずしも抜く必要のないケースや、逆に抜かなければあとあと大変になってしまうケースもあります。今回は親知らずが痛みを出す原因と抜いたほうがいいケースについて解説していきます。

親知らずが痛くなる原因

　親知らずが痛いと言ってもいろいろな原因があります。主な原因は次の通りです。

1.智歯周囲炎

　これは親知らずの周囲の歯茎の炎症です。親知らずはかなり奥に位置しているため、歯ブラシが届きづらく、歯茎が炎症を起こしやすくなります。特に生えかけの親知らずでは頻繁に炎症を起こしがちです。

2.虫歯

　智歯周囲炎と同様、歯ブラシが届きづらいことで不潔になり、虫歯が悪化しやすいのも特徴です。また、親知らずだけでなく、隣の歯に大きな虫歯を作ってしまうこともあります。

3.口内炎

　親知らずが向かいの歯茎や頬粘膜を噛んでしまうことにより、口内炎を作って強い痛みを出すことも珍しくありません。

4.他の歯を押している

　親知らずが生える時に隣の歯に力がかかって痛みを出すこともあります。

親知らずを抜いたほうがいいケース

　親知らずはそもそも物を噛むのに必要な歯ではありません。そのため、親知らずは抜きたければ抜いても構わない歯なのですが、積極的に抜くことが勧められるのは次のようなケースです。

1.虫歯が大きい場合

　虫歯が小さい場合には治療をすることも可能ではありますが、大きな虫歯ができている場合、治療が困難を極めるだけでなく、治したとしても予後が悪いため、抜歯することが勧められます。

2.歯茎の炎症がひどい場合

　智歯周囲炎を頻繁に繰り返していたり、炎症の程度がひどい場合には、抜歯をしなければ辛い症状に悩まされ続けたり、炎症が広がって重症化し、入院をしたりするようなひどい目にあう場合もあります。

3.きちんと生える見込みがない場合

　親知らずが歯茎から出ているけれども、親知らずが倒れて埋まっていたり、スペースが足りずに生えきらない場合は、後にトラブルが起こる前に早めに抜くことが勧められます。

4.歯並びを悪くしてしまう場合

　親知らずが傾いて埋まっている場合、隣の歯を押して歯並びがずれてしまうことがあります。このような場合には抜かなければ歯並びがどんどん乱れてしまいます。

5.口の中の粘膜や顎関節にダメージを与えている場合

　親知らずがきちんと生えていて虫歯がなくても、向かいの親知らずが生えていないなどの理由で噛み合わない場合、向かいの歯茎を噛んでしまったり、頬粘膜を傷つけ、口内炎を作る原因となります。また、親知らずが生えていることで顎関節にダメージが加わることがあります。

6.口の中の清掃状態が良くない場合

　歯磨きがきちんとできていない人は、親知らずがのちに痛みや腫れなどのトラブルを起こす危険性が高いため、トラブルのないうちに抜いておいた方が良いと言えるでしょう。

まとめ

　親知らずは、痛みがあるからといって、すべてが抜かなければならないわけではありません。例えば、親知らずが生える時というのは完全に生え切るまで数ヶ月かかることも珍しくなく、その間歯茎の炎症を起こしたり、隣の歯を圧迫することで時々痛みを出すことは多かれ少なかれあります。

　ただ、その親知らずがその後きちんと生える見込みがあり、本人がしっかりと親知らず周囲の清掃管理を行っていけるようであれば、親知らずを無理に抜く必要性はありません。むしろ抜歯せずに残しておくことで、将来他の歯がダメになった場合に移植に利用したりすることもできるため、最近では「残せる見込みのある親知らずは残す」という姿勢の歯医者さんが多いようです。

　ただし、どうしても抜かなければならないケースというのもありますし、個人個人の置かれている状況によっても判断基準が変わってきますので、親知らずが痛い時は一度歯医者さんで診てもらいましょう。