乳歯から永久歯への生え変わりは、通常はスムーズに起こります。しかし、生え変わりがなかなかうまくいかず、乳歯があるうちから永久歯が生えてきたり、乳歯が抜けたのに何ヶ月も永久歯が生えなかったりする場合もあります。「様子を見てればそのうちキレイに生えそろうだろう」と悠長に構えていたら、思わぬトラブルを招いてしまうこともあるのです。
とは言っても、乳歯は全部で20本もありますので、生え変わりのたびに歯科医院に行くのも大変ですよね。そこで今回は、乳歯から永久歯への抜け変わりがうまくいかない場合はどうなるのか、また、どういった基準で歯科医院に行くかどうかを判断するかについて解説していきます。
乳歯が生え変わるべき時に抜けないとどうなる?
永久歯が生えてきたにもかかわらず、乳歯がなかなか抜けないこともあります。ぐらぐらと動いていればまだ良いのですが、しっかりと生えていて、動きそうにもないときもありますよね。乳歯が生え変わるべきときに抜けないと、どのようなことが起こる可能性があるのでしょうか。
1.永久歯の歯並びが悪くなる
通常、乳歯の根っこは、奥に控えている永久歯が生えてくる段階で徐々に溶けていきます。根っこという支えを失うことで、乳歯は自然に抜けるのです。
しかし、永久歯が乳歯とずれた位置から生えてくると、乳歯の歯根が溶けずに残ってしまいます。歯根が溶けないため、永久歯が生えても乳歯は抜けないで残ってしまうのです。また、乳歯がいつまでも残ってしまうことで、永久歯は正しい位置に移動できなくなってしまいます。そのため、本来とは異なる位置に生えることになり、歯並びが悪くなってしまうのです。
また、乳歯が早く抜けすぎてしまうことでも、永久歯の歯並びが悪くなることがあります。永久歯は乳歯の位置を頼りに生え始めますので、案内役である乳歯が早く抜けてしまうことで、永久歯が本来の位置とは遠く外れた位置に生えてしまうこともあるのです。
2.永久歯が虫歯になってしまう
永久歯が出てきているのに、その上に乳歯がかぶさるように残っている状態が続くと、永久歯の表面に汚れが溜まりやすく、虫歯ができてしまうことがあります。また、狭い場所に永久歯と乳歯の両方が生えると、歯と歯の間に汚れや食べ物のカスが溜まりやすくなり、磨き残しが増えて虫歯の原因になることもあるのです。
生えたての永久歯は、構造的に虫歯になりやすいという特徴があります。丁寧に磨くことが必須となっていますので、乳歯がなかなか抜けない場合は歯科医院で抜いてもらうか、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して丁寧に歯の隙間を磨くようにしてください。
3.歯茎に炎症が起こる
永久歯の上に乳歯がかぶっている状態が長く続くと、永久歯が虫歯になりやすくなりますが、問題は虫歯だけではありません。食べかすや汚れがたまって細菌の温床になりますので、歯茎の炎症を起こす原因となることもあります。
10人に1人はこんなケースも
永久歯との生え変わりの時期であるはずなのに、乳歯が一向にぐらぐらしないということがあります。これは、永久歯の先天欠如が原因になっている場合があります。乳歯の根元は永久歯が成長することで溶け始め、乳歯がぐらぐらと動くようになって自然に抜けるのが通常です。しかし、乳歯の根の近くに永久歯の元になるものが先天的に欠如している場合は、乳歯の根元はいつまで経っても溶けず、ぐらつくことも抜けることもありません。
永久歯の先天的欠如は、10人に1人ほどの高い割合で起こります。生え変わるべき年齢を過ぎても乳歯に全くぐらつきがない、永久歯が一向に見えない、という場合には、永久歯の先天欠如を疑ったほうが良いかもしれません。治療することはできませんが、レントゲンを撮って確認することはできます。
こんな状態は要注意!歯科医院で抜いてもらったほうがいいケース
乳歯が抜けるタイミングと永久歯が生えるタイミングがずれることもありますが、ほとんどの場合は問題なく生え変わりが進みます。永久歯が生えてきてから乳歯が抜ける等の理由で永久歯が普通よりも少し奥に生えたとしても、少々のずれならば自然にキレイな歯並びになることが多いです。
しかし、すべての生え変わりがスムーズに進むわけではありません。歯科医院で抜いてもらう方が良い場合もあるのです。どのような場合は歯科医院で抜いてもらう方が良いのでしょうか。
1.永久歯が出てきたのに乳歯がなかなか抜けない
乳歯に代わる永久歯が生えてきているのに乳歯がなかなか抜けない場合は、歯科医院で乳歯を抜いてもらう方が良いでしょう。これを放置すると永久歯の歯並びが悪くなったり、永久歯が虫歯や歯肉炎にかかりやすくなったりします。
ただし例外があります。下の前歯4本は、永久歯が乳歯の内側から生えてきて乳歯と永久歯が二重に生えることがよくあります。この場合は焦って抜かなくても、いずれ乳歯が抜ければ永久歯が前にきちんと出てきます。二重に生えている期間が長い場合は乳歯を抜くようにしてください。
2.乳歯が揺れているのに抜けず、痛みがある
乳歯は揺れているけれどもなかなか抜けず、食事の時に痛みが生じるケースです。噛む度に痛みが走るので、食欲がなくなってしまうことや、一時的に体重が減ってしまうこともあります。生え変わりの時期は成長の時期でもありますので、不快な思いをしないで食事ができるよう、ぐらついた乳歯を歯科医院で抜いてもらいましょう。
3.乳歯が膿んでいる
乳歯の虫歯が原因で根っこの周囲が膿んでしまっている場合は、歯茎がプクッと腫れてきます。このような場合は、例え子供が痛みを感じていなくても、奥に控えている永久歯のエナメル質形成に悪影響を及ぼすことがありますので、早く抜いたほうが良いと判断できます。
また、虫歯の乳歯だけでなく、周囲の乳歯や永久歯にも影響を与えることがありますので、乳歯を抜くついでに口内チェックをしてもらいましょう。
4.乳歯が虫歯でボロボロになっている
乳歯がボロボロに崩壊している場合には、ポロっと一塊で抜けず、かけらがいつまでも歯茎に残ってしまい歯茎の炎症を引き起こす原因となります。無理に自宅で抜こうとするのではなく、歯科医院で抜いてもらうようにしましょう。
5.反対側の歯が抜けたのに生え変わる気配がない
通常、左右同じ種類の歯であればほぼ同時期に生え変わります。しかし、その時期が大幅にずれると、特に前歯の場合、歯並びの中心の位置がずれてしまうことがあります。中心の位置がずれてしまうと、小臼歯や大臼歯の位置もずれてしまうことになり、歯並び全体が悪くなってしまいます。
左右であまりにも抜ける時期に違いがあるときは、なかなか抜けないほうの乳歯を早めに抜いた方が良い場合があります。その場合、永久歯が先天的に欠如しているために乳歯が抜けないということもありますので、レントゲンを撮影し、永久歯の元があるのかどうか確認してから抜歯するようにしましょう。
まとめ
歯の生え変わりがうまく行われているかどうか、というのは専門家でないと分からないことが多いものです。できれば、異常があった時だけ歯医者に行くのではなく、かかりつけの歯科医院に日頃から定期的(3ヶ月に1度くらい)に通って、虫歯のチェックと生え変わりの状態を診てもらうのが望ましいでしょう。
乳歯と永久歯の生え変わりに異常が見られる場合には、手遅れになる前に早めに歯科医院で対処してもらうことをお勧めします。早めに虫歯や歯肉炎などに気付くことで、治療期間を短縮できるだけでなく、子供が感じる痛みを軽減することもできます。また、歯並びの悪さが深刻な状態になる前に対処することで、将来矯正治療を始めたとしても、完了するまでの時間を短縮できるだけでなく、費用を抑えられることもあります。
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