こんにちは。キーデンタルクリニック歯科医師の中村希美です。
「八重歯」とは前から三番目の犬歯が外側に出ている歯並びのことを言います。日本では八重歯はどちらかというと「かわいい」というプラスな感じがありますよね。昔から八重歯の芸能人もたくさんいますし、それに憧れて「つけ八重歯」というものも一時期人気がありました。しかし、見た目の可愛さとは裏腹に、八重歯は歯の健康にとってはむしろマイナスになります。今回は八重歯に起こりやすい虫歯に焦点を当てて治療法など詳しくご説明していきます。
八重歯が虫歯になりやすい理由
1.八重歯は不潔になりやすい
八重歯は他の歯よりも外側に出ているため、歯ブラシが行き届きにくく、汚れが溜まりやすくなります。また、八重歯はただ外に出ているだけなのではなく、隣の歯と重なり合っています。重なっている部分は非常に汚れがたまりやすく、歯ブラシだけでは落とすことができません。
2.八重歯は歯ぐきが下がりやすい
八重歯は歯列(歯並び)の外側に出ているため、八重歯が埋まっている唇側の骨や歯ぐきは他の歯よりも元々薄い状態になっています。また、他の歯よりも外側にあるため、歯ブラシのブラッシング圧が強くかかりがちです。この二つの理由から、八重歯の歯ぐきは下がりやすく、歯の根っこが出てしまいやすいのです。そして歯の構造上、歯の根っこは虫歯に対する抵抗性が弱く、虫歯になりやすいのです。
3.八重歯は治療をしても虫歯が再発しやすい
虫歯になりやすい八重歯は、たとえ治療をしても詰めた境目から虫歯が再発してしまう危険性が高いということが言えます。また、八重歯が隣の歯と重なっている部分が虫歯になった場合、治療を行う側の歯科医師も治療をしにくい部分であるため、普通にまっすぐ並んでいる歯が虫歯になった時と比べ、うまく詰められない場合があります。
八重歯が虫歯になった場合の治療方法
1.ほとんど痛みのない小さな虫歯
特に痛みのない、神経に達していない虫歯は、虫歯を取り除いた後にコンポジットレジンと呼ばれる歯の色をした樹脂(プラスチック)の詰め物をします。即日で終わる治療です。
2.強い痛みのある虫歯(神経に達する虫歯)
痛みが出ている虫歯は神経に達していることが考えられます。この場合神経を取りのぞく必要があります。虫歯を取り除いたのち、神経を抜く治療を行います。神経の治療が終わったら、虫歯の大きさに応じて、コンポジットレジンを詰めるか、歯が大きく崩壊していまっている場合には土台を立てて、白いかぶせ物をします。
3.大きく崩壊している虫歯
大きくボロボロに壊れてしまっている場合、神経はしんでしまって痛みを感じなくなっている場合もあります。この場合は、感染している神経を取りのぞき、根の中をきれいに消毒したのち、土台を立て、上に白いかぶせ物をします。
4.歯の根っこまで侵されている虫歯
虫歯が根の深くまで進行している場合には、歯を残すことができませんので、歯を抜かなければいけません。その後は状況に応じて、次のような処置をします。
(ⅰ)歯を抜いても隙間がほとんど目立たない場合
八重歯を抜いても隣りの歯同士がほぼくっついていて隙間が目立たない場合には、八重歯を抜いてそのままにすることもあります。
(ⅱ)歯を抜いたら隙間が空いてしまう場合
八重歯を抜いて残った歯に隙間ができる場合には、一般的には両隣の歯を削って、ブリッジをかぶせることが多いです。保険の場合は1、2、4番目の歯を削ってかぶせる決まりとなっており、1、2番目は白いかぶせ物になりますが、4番目は銀歯となります。自費の場合はセラミックが使われることが多いです。
5.八重歯が外れた場所にある場合(矯正治療をしない前提の場合)
八重歯が他の歯から大きく外れた場所(上の方)に生えてしまっている、というようなケースで、今後矯正治療をする予定がない場合には、八重歯を残しておいても悪影響しかないため、抜歯を積極的に行った方が良い場合があります。このような場合は虫歯がなくても「転位歯」という病名で抜歯することができます。
八重歯が虫歯にならないようにするためには
1.念入りに歯磨きをする
八重歯はそのままでなんとか虫歯を防ぎたい場合、とにかく虫歯の元になる歯垢をためないようにすることが大事です。歯ブラシを念入りにするのはもちろん、デンタルフロスを使い、歯と歯が重なり合っている部分もしっかりと汚れを取りきるようにしましょう。
2.歯科医院での定期的なクリーニングを受ける
デンタルフロスまで使った徹底的なブラッシングでも、汚れが残ってしまうことがあります。そのため、3〜6ヶ月に一度ha
歯科医院でプロによる専門の器具や機械を使ったクリーニングをしてもらうことをおすすめします。
3.歯列矯正をする
一番良い解決策は歯列矯正治療です。歯並びを改善することで虫歯や歯周病のリスクを格段に減らすことができます。また、犬歯は全ての歯の中で歯根が最も長く、横からの力にも十分耐えられるようになっており、奥歯をうまく守る働きをしています。これが噛み合わせの時にうまく当たっていないと、奥歯の負担過剰となってしまい、歯を早く失う原因になりかねません。
まとめ
八重歯は若い時には「チャーミング」で済まされますが、やはりずっとそのままでは早く歯を失うリスクが高くなるということを認識しておいた方がよいでしょう。トラブルが起きる前に歯科医院でお口の状態を確認し、今後の対策を考えていくことをおすすめします。
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