こんにちは。キーデンタルクリニック、歯科医師の中村希美です。
みなさんは普段お口を閉じている時、上下の歯はどうなっていますか?触れ合っていますか?それとも離れていますか?ためしに軽くお口を閉じてみてください。
本来私たちの歯は、何もしていない時は上下触れ合っていません。唇を閉じていても上下の歯は軽く離れているものです。食事や会話をする時は上下の歯と歯が瞬間的に触れ合っていますが、一日の歯の接触時間をトータルすると、平均17.5分と言われています。こんなに短いなんて驚きですよね。
どちらが落ち着きますか?
1.唇を閉じ、上下の歯と歯を噛み合わせてください。
2.唇は閉じたまま、上下の歯と歯を離してください。
どちらが落ち着きますか?もし1の方が落ち着く方は、普段無意識のうちに上下の歯が触れ合っているかもしれません。
上下の歯を無意識に触れさせる癖、TCHとは
日中食いしばったり噛みしめたりしているわけではないけれど、上下の歯と歯がいつも触れ合っていたりしませんか?これは一つの癖です。
この上下の歯を無意識に触れさせ続ける癖はTCH(Tooth Contacting Habit:上下歯列接触癖)と呼ばれてます。TCHがあるとお口の健康に様々な影響が出てくることがあります。
こんなリスクにご用心
歯を触れ合わせる癖のある方は、歯や歯を支える骨、筋肉などがずっと働きっぱなしの状態です。弱くても長時間接触しているだけで、本来かかる力以上の負担をかけていることになります。
1.歯がすり減る、かける
弱くても常に力がかかっていると歯の表面に細かいヒビが入り、小さなかけらとなって歯の表面がはがれおちます。歯の根元部分は特に負担がかかりやすく、気づくとえぐれるように歯がすり減って、虫歯や知覚過敏の原因になります。
2.歯周病の治療効果が上がらない
歯周病は、プラークや歯石の中にひそむ歯周病菌によって歯ぐきが腫れたり骨が溶けていく病気です。歯周病治療で徹底的にプラークや歯石を取り除くことで進行を抑えられます。しかし、歯が触れ合う癖で骨に余計な力がかかっていると、歯周病菌を取り除いても骨はどんどん減っていき、歯がグラグラゆれてきます。
3.治療した部分が壊れる
丁寧に治療をしても、持続的な偏った力がかかると詰め物や被せものが壊れたり、取れてしまい、何度も治療を繰り返すことになってしまします。
こんなお悩み、症状はありませんか?
長年悩んでいる症状はもしかしたらTCHが関係しているかもしれません。
1.歯がすり減ってたり、かけている
2.治療もメンテナンスもしっかりしているのに詰め物や被せものがとれやすい
3.歯磨きや歯医者でのクリーニングもしっかりしているのに歯が揺れる、歯周病が良くならない
4.顎が痛い(顎関節症)
5.咬み合せの違和感がずっと続いている
6.歯がしみるようになった(知覚過敏)
7.歯医者で入れ歯を調整した後は痛くないのに普段入れていると食事以外の時に痛くなる
8.肩や首が凝ったり、頭痛がする
9.寝ている時の食いしばりや歯ぎしりは指摘されたことがない
まずはリラックス
普段歯と歯が触れ合っている癖があるとわかったからといって、「癖を治そう!」「気をつけなくちゃ!」と構えなくてもいいんです。無理に意識しすぎると、かえって力が入りすぎて疲れてしまします。日中思い出した時に歯と歯を離してリラックスしてみましょう。
リラックスするきっかけとして
ふとした時に歯を離すことを思い出してリラックスするきっかけとして、
・歯を離す
・脱力
・口を開ける
などと書いたメモを貼ってみてください。
パソコン作業が多い方はパソコンの画面横に、ご家庭の中ではキッチンや冷蔵庫、勉強の合間に目につくように机の前、などなど日常生活で目にしやすい場所に貼るといいですよ。気づいたら、ため息をつくように息を吐き、顔や肩の力を抜きましょう。
メモを見て力を抜く、これを繰り返すことで歯が触れ合っていると気づき、TCHから解放され、治療しても変わらなかった様々なお口の悩みが解消されることがあります。
まとめ
TCHは生活環境の変化や体調の変化、気候の変化などあらゆることがきっかけになる可能性があります。歯科医師や歯科衛生士との会話の中から見つけ出されることも多くあります。定期的なメンテナンスに通っていただくことで、歯科医師や歯科衛生士も患者さんの細かな変化に気づき、おひとりおひとりと向き合うことができます。長く悩んでいるお口の症状や、お口の中の変化などあれば、いつでもご相談ください。
確かな技術で納得の治療を
ムシバラボを運営するキーデンタルクリニックは、東京の赤坂見附駅から徒歩1分、永田町駅から徒歩3分の歯科医院です。できるだけ抜かない削らない治療を心がけ、痛みの少ない治療方法や先進治療を取り入れることで患者様の負担を軽減するようにしています。良い歯医者さんと巡り会えない方は是非一度、ご来院ください。