こんにちは。キーデンタルクリニック歯科衛生士の佐藤茉友です。
みなさんは「酸蝕症(さんしょくしょう)」という言葉を聞いたことがありますか?酸蝕症とは、その名の通り、酸によって蝕まれることを言います。通常むし歯はむし歯菌が出す酸によって歯が溶かされることを言いますが、酸蝕症はむし歯菌がなくても、日頃口にしている酸の食べ物や飲み物によって歯が溶かされるのです。
歯が溶ける職業とは?
【どんな人がなりやすい?】
酸蝕症は、実は職業病と言われていました。精錬所、メッキ工場など強い酸を扱う工場で働く人、ワインを口に含んでテイスティングするソムリエや寿司職人、塩素消毒が行われているプールで1日に何時間も泳ぐ水泳選手など。
【なりやすい人の移り変わり】
かつては特殊な職業の人によくなるものでしたが、現在は酸性である清涼飲料の消費量が増えたことや食生活の変化により、大人子供に関わらず、誰もがなる可能性があるものとして注意が必要です。
【酸蝕症になった歯は?】
酸の影響を過剰に受けることにより、酸が歯の表面のエナメル質を溶かし、やがて歯のつやが消えたり、すり減ったり、薄くなったり、あながあいたりしてしまうのです。むし歯との大きな違いは酸蝕症は細菌が関与していないということです。
歯が溶ける酸蝕症(さんしょくしょう)の原因と理由
1.内因性の原因として
塩酸からなる胃液が関わっていて、反復性嘔吐、胃酸の逆流、食べ物の反芻癖などがあります。pH1.0~2.0の強酸性である胃液が疾患、薬物、アルコールなどの作用によって、口の中に逆流することで歯は簡単に溶けてしまうのです。
2.外因性の原因として
飲食物や薬物が原因となります。
〜酸蝕症になりやすい飲食物〜
・炭酸飲料
・柑橘類
・サラダドレッシング
・酢漬けの食品
・梅酒、ワイン など
強い酸を含む飲食物を毎日、頻繁に摂取する習慣があると、酸と歯が触れ合う時間が長くなり、酸蝕症のリスクが高まります。近年の健康意識の高まりによって、クエン酸や黒酢ドリンクなどを摂る人も増えており、健康に良いと思っても歯にとっては逆効果となってしまうこともあるのです。その他にも、ビタミン剤やアスピリン、鉄剤などの酸性の薬剤などが酸蝕症を引き起こす可能性があると言われています。
【酸蝕症の予防】
内因性の場合は、内科の治療を必要としますが、外因性の場合は、強い酸性の飲食物を知ること、そしてその摂取方法に注意することが大切です。
1.水やお茶で酸を減らそう!
酸性の飲食物を口にした後は、すぐに水やお茶を飲む(うがいをする)ことで、原因となる酸を洗い流し、口の中に長時間残らないようにしましょう。摂取する回数が増えることも、結果的に時間が長くなるので、ダラダラ食べたり飲んだりする方は要注意です。
2.フッ素入りの歯磨き粉や洗口剤を使おう!
フッ素は、強く酸に溶けにくい歯にしてくれます。最近は多くの歯磨き粉にフッ素が入っています。歯磨きの後に、研磨剤の入っていないフッ素ジェルやフッ素洗口液を使うとより効果的です。
【まとめ】
酸蝕症はむし歯じゃなくても歯が溶かされてしまう、ちょっと恐ろしいものですね。残念ながら、健康に良いことが必ずしも歯にとっても良いこととは限りません。ただ、正しい知識を持つことで酸蝕症のリスクを減らし、歯を守ることは出来ます。しっかりと予防をして、健康な体と歯、両方を目指しましょう!
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