こんにちは。キーデンタルクリニック歯科医師の中村希美です。
お子さんの歯並びや咬み合わせについて、いつごろから気にすればいいのかお悩みのお父さん、お母さん。ご自身が歯並びで苦労した経験があるとお子さんのことも気になりますよね。早い方がいいのか、遅くても問題ないのか、矯正治療は必要なのか。
お子さんのお口の状態と一度向き合ってみませんか?費用や期間、痛みや歯を抜くかどうかなど、よくある疑問にお答えします。
なぜ子供の歯列矯正が必要なのか
歯並び、咬み合わせは生活のあらゆる場面に影響します。きれいな歯並び、正しい咬み合わせにするための矯正治療が必要な理由、ご存知ですか?
1.虫歯や歯周病になりにくいお口に!
歯並びがガタガタしていると一生懸命歯を磨いたつもりでも歯ブラシが当たっていない部分が出てきて汚れがたまってしまいます。きれいな歯並びは歯磨きもしやすく、磨き残しによる虫歯や歯周病を防ぎます。お子さんがこれからの長い人生の中で虫歯や歯周病の治療に悩まされたり、歯を失ったりすることなく、一生自分の歯で物を噛み、おいしく食事ができることがどんなに素晴らしいことか想像してみてください。
2.健康な体の成長を助ける
正しい咬み合わせは食事をしやすくするのはもちろんのこと、発音や顎の関節、筋肉の発達にも影響します。うまく噛めないことで食事がし辛いと栄養が摂れずに体の発育に影響したり、顎の関節や筋肉のバランスが崩れると肩こりや頭痛の原因にもなります。お子さんが健康にすくすく育つためにもお口の機能を最大限に活かすことが重要になります。
3.きれいな見た目で明るい未来を!
お口周りの見た目は人の第一印象にも大きく関わってきます。歯並びが気になって人前で笑顔を見せられない、発音が悪くて自信を持って話せないなどお子さんがコンプレックスを持ってしまうのは悲しいですよね。きれいな歯並びで自信を持って笑顔をでいること、話せることがお子さんの将来にもきっとプラスになるはずです。
お子さん自身が自分の歯並びや咬み合わせが悪いと感じ、治したいと訴えることはほとんどありません。お父さんお母さんが気にしてあげる、将来を考えてあげることが大切になります。
子供の歯列矯正はいつから始める?
子どもの矯正治療のスタート時期については様々な考え方があります。お口の中の状態、体の成長、心の成長を見極め、矯正医と親御さん、そしてお子さん自身と相談しながらそれぞれに合ったスタート時期を決めていきます。
性別、年齢、性格、生活スタイル、学校での過ごし方、患者様のご希望などもふまえて矯正医から治療計画をご提案します。疑問や不安ご希望などがあれば納得いくまでご相談ください。
3歳~6歳
乳歯が生えそろってから永久歯が生え始める前までの歯がすべて乳歯の時期(乳歯列期)です。歯科医院に慣れるところから始め、虫歯、咬み合わせのチェックをします。また、指しゃぶりや口呼吸、舌の癖などが歯並びや咬み合わせに影響していないかもチェックします。まだ幼く、治療が困難な場合は、簡単な装置が使えるようになるまで半年から1年ごとに経過を観察していきます。
7~10歳
乳歯と永久歯が混じって生えている時期(混合歯列期)です。この時期は顎の骨の成長をコントロールできるため、早期の治療(一期治療)を開始するのに適しています。
12歳~15歳
永久歯が生えそろう時期(永久歯列期)です。完全に成長が止まる前に、一本一本の歯に装置をつける本格的な矯正治療(二期治療)を開始するのに適しています。
2段階ある子どもの矯正治療。実は歯並びを良くするだけじゃない!?
子どもの矯正は、顎の骨のバランスや大きさを整える一期治療(骨格矯正)と歯の位置を動かして並べる二期治療(歯列矯正)の2段階に分かれています。
一期治療(骨格矯正):7~10歳頃
乳歯と永久歯が混じって生えている時期(混合歯列期)に行います。顎の骨がまだ柔らかく、これから成長していくお子さんだからこそできる治療です。骨格が原因となる症状は、骨が柔らかい年齢から開始します。上下の顎のバランスを改善するための装置を使用し、上下の顎のバランスを正しい状態にします。
顎が小さく歯の生えるスペースが不足しているケースでは、そのまま放っておくと叢生(乱ぐい歯)になってしまいます。顎の骨をを拡大する装置(取り外し式のプレート装置)を使うことで永久歯がきれいに並ぶスペースを確保します。
指しゃぶりや舌を前に押し出す癖がある場合、歯並びや顎の骨の成長に悪影響を及ぼすため、その癖を取り除くための装置を使うこともあります。
このようにして噛み合わせや顎の形、大きさを整え、永久歯がきちんと生えそろうように土台作りをし、生え変わりを誘導します。歯が並ぶ土台がきちんと出来上がったら、永久歯が生えそろうまで経過をみます。永久歯が生えそろった時に歯並びや咬み合わせに問題がなければ一期治療で終了することもあります。もちろん、すべての歯並びの問題が一期治療の適応ではありません。永久歯が生えそろってから、成長が止まってから治療した方がいい場合もあります。
一期治療をするメリット
・永久歯を抜かずに矯正できる可能性が高くなる
・二期治療の歯列矯正の期間が短くなる、または必要なくなる可能性がある
・治療後の後戻りが少なくなる
・咬み合わせや顎の成長に悪い影響を及ぼす癖を治せる
・虫歯や歯周病になるリスクを減らせる
一期治療(骨格矯正)から始めた方が良い場合
・受け口(反対咬合)
・出っ歯(上顎前突)
・デコボコの歯並び(叢生)
・咬んだ時に前歯がまったくあたらない(開咬)
・咬み合せが深い(過蓋咬合)
・指しゃぶりや舌の癖がある(悪習癖)
二期治療(歯列矯正):12歳頃~
永久歯がすべて生えそろったら治療を開始します。一本一本の歯にブラケットという装置をつけて細い針金(ワイヤー)の力を使って歯を動かし、一期治療では改善しきれなかった歯並びや咬み合わせを整えていく仕上げの治療です。一期治療のタイミングを逃してしまった場合も心配はいりません。永久歯が生えそろった後も17,18歳くらいまではゆっくりと成長が続きます。完全に成長が止まった成人以降と比べると歯は動きやすいため、12~15歳から開始しても遅くはありません。一期治療が必要ないと矯正医が診断した場合は、二期治療のみを行う場合もあります。
子供の歯列矯正にかかる平均的な費用と保険に関して
矯正治療はほとんどの場合が保険がきかないため、自費診療になります。また、使う装置や治療期間などによっても各歯科医院で料金体系が異なります。一例をご紹介します。
・一期治療 20~50万円
・二期治療 50~100万円
・一期治療+二期治療 70~100万円
矯正は痛む?歯は抜くの?
一期治療で使う装置は取り外しができるものが多く、痛みや違和感を感じることは少ないです。二期治療で使う装置は固定式で粘膜にあたるため、慣れるまでは痛みや違和感があります。どちらの場合も我慢できる範囲ですので心配はいりません。また、大人に比べるとお子さんの方が装置に慣れるのが早いようです。
永久歯を抜くかどうかは永久歯が生えそろった段階で判断します。一期治療で永久歯がきれいに並ぶような顎の骨の土台が出来上がっている場合は歯を抜かずにすむことがあります。
矯正はどのぐらいの期間かかる?
一期治療
歯の生え変わりや成長の速度に個人差があるため、状態や治療方法、始めた時期によっても変わってきます。目安は10ヶ月~1年半です。一期治療が終わった後、永久歯が生えそろって二期治療を始めるまで、数年待つ場合もあります。
二期治療
永久歯が生えそろった時の状態にもよりますが、1年半~2年半程度です。一期治療をしていると二期治療の期間が短くてすむこともあります。
目的によってもお子さんの矯正をオススメします
将来、留学を考えている
欧米では子供は矯正をすることがスタンダードです。
ご両親が海外での赴任、移住の予定がある
上記と同じ理由で矯正をオススメします。
スポーツのプロを目指している
バランスの良い咬み合わせはパフォーマンスアップにつながります。
楽器などのプロを目指している
歯並びが楽器の音に影響がすることがあります。
人前に出る仕事を目指している
口元の美しさは健康的で清潔感のある印象を与えます。
まとめ
お子さんの矯正治療は周りの方のサポートがとても大切になります。お父さんお母さんをはじめとしてご家族みんなで、装置をきちんと使えているか、歯磨きが上手にできているか、ストレスを感じていないかなど声をかけ合う機会を作ってください。また、長い時間を過ごす学校でも、お友達の目を気にしていないか、困ったことがないか先生が子ども達全体の様子を見てあげられるといいですね。周りの方もお子さんと一緒に変化を感じ、変化を喜んでいきましょう!
キーデンタルクリニックでも矯正専門医による矯正治療を行っています。無料相談も受け付けておりますので、お子さんの矯正について疑問がある方は是非一度ご来院ください。
確かな技術で納得の治療を
ムシバラボを運営するキーデンタルクリニックは、東京の赤坂見附駅から徒歩1分、永田町駅から徒歩3分の歯科医院です。できるだけ抜かない削らない治療を心がけ、痛みの少ない治療方法や先進治療を取り入れることで患者様の負担を軽減するようにしています。良い歯医者さんと巡り会えない方は是非一度、ご来院ください。