こんにちは。キーデンタルクリニック、歯科医師の中村希美です。
「虫歯は遺伝する」、このような情報を耳にしたことはありませんか?はたしてこれは本当なんでしょうか?実はこれは間違いなんです。歯の形や質、歯並び、骨格、唾液の性質などは遺伝的な影響を受けることがありますが、お父さん、お母さんが虫歯が多いからといって、子供も必ず虫歯が多くなるわけではないのです。
生まれたきた赤ちゃんのお口の中には虫歯の原因になる虫歯菌は存在しません。しかし、最新のデータによると、3歳児の約4人に1人は虫歯があるといわれています。ではなぜ無菌状態で生まれてきたにも関わらず、多くの人が虫歯になってしまうのでしょうか?
生え始めの歯に虫歯は感染する
虫歯はミュータンス菌という細菌の感染で起こる感染症の一つです。はじめは無菌状態の赤ちゃんも、生活をしていく中で周りの人から虫歯菌がうつってしまいます。虫歯菌が周りの人からうつらないようにすれば、虫歯になるリスクが減るということになります。赤ちゃんと多くの時間を過ごすのは、ご両親(特にお母さん)です。お父さん、お母さんからの感染をできるだけ避け、無菌状態を長く保つことで、虫歯になるリスクを減らすことができます。
赤ちゃんの虫歯の感染経路
虫歯の原因となるミュータンス菌は唾液の中に含まれています。周りの人の虫歯菌の含まれた唾液が無菌状態の赤ちゃんのお口の中に入り込むことで、虫歯菌が感染します。
赤ちゃんの歯を守るためにやってはいけないこと
(1)食器の共有
子供が小さいうちは、つい自分の使っている箸やスプーンでそのまま食べさせてしまいがちですが、それは唾液の中の虫歯菌を子供のお口の中に運んでいることになります。子供用の食器を分けて使うようにすると虫歯になるリスクを減らすことができます。
(2)噛み与え
固い食べ物を噛み砕いたり、熱い食べ物の温度を口に入れて確かめてから食べさせることも虫歯菌に感染する原因になります。固めの食べ物はあらかじめ細かく切ったり、柔らかくする調理方法にしたり、熱い食べ物は自然に冷ますように工夫してみてください。
(3)過度なスキンシップ
かわいさ余ってお口に口づけをしたくなる時もありますが、これは口から口への感染の原因となります。
これらのことを常に意識していても、顔を近づけることもあれば、あやしているをときに唾が飛んだり、完全に感染を避けることはできません。親子のスキンシップはとっても大切なことですし、感染を避けるためにスキンシップをしないということはできません。
そこで重要になってくるのが、周りの人の唾液にどれだけの細菌が含まれているかです。たとえ周りの人の唾液がお口の中に入ってしまった場合でも、細菌の数が少なければ子供が虫歯になるリスクは低いといえます。つまり、一番身近な感染源となるお父さん、お母さんのお口の中を清潔にしておくことが感染防止の一つの手段となるのです。
赤ちゃんの歯を守るためにやるべきこと
(1)虫歯治療
できることなら、赤ちゃんが生まれる前にお父さんもお母さんも虫歯の治療をすませておくことをおすすめします。妊娠中も安定期であれば麻酔を使った歯科治療もできます。治療内容や治療期間は、虫歯の状態によって変わってくるため、産科医、歯科医師と相談しながら進めてください。
(2)クリーニング
歯科医院での専門的なクリーニングをしてお口の中の細菌数を減らしておきましょう。毎日しっかり歯磨きをしていても、磨き残しがあったり、歯石がついてしまうことがあります。歯についているプラークや歯石は細菌の塊です。専用の器具でご自身では取れない汚れを徹底的に取り除いてもらってください。
(3)定期健診
信頼できる歯科医院をみつけ、定期健診を受けることを習慣にしましょう。まずはご自身のお口の状態を知り、必要な治療、正しいケアの仕方を理解することが大切になります。赤ちゃんが生まれてからもご家族そろって検診を受けられるホームドクターがいると心強いですよね。
(4)周りとの協力
育児にかかわる周りの方にも協力してもらいましょう。おじいさん、おばあさんにも子供を預ける機会が出てくるはずです。正しい知識を共有して子育てをサポートしてもらいましょう。
まとめ
虫歯は遺伝ではなく、細菌感染です。無菌状態で生まれたきた赤ちゃんがどれだけ長くその状態を保っていられるかで、その後の虫歯になるリスクは変わってきます。まずはお父さん、お母さんのお口の状態を清潔にし、日常生活での唾液からの感染を減らすようにしましょう。かわいいのわが子のお口の健康を守れるかはお父さん、お母さん次第です!
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